随想 空即空(連載103)内村鑑三の不敬事件を巡って#ドストエフスキー&清水正ブログ#

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随想 空即空(連載103)内村鑑三の不敬事件を巡って#ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

 『余は如何にして基督信徒となりし乎』の中に「イエスを信ずる者たちの契約」の内容が紹介されている。重要な「契約」なので全文を引用しておこう。

 

  下段に署名するS・A・カレッヂの生徒は、キリストを彼の命令にしたがって告白することと、十字架上の彼の死によって我々の罪のために贖いを為したもうたかの救拯主に我々の愛と感謝とを示さんがために真の忠誠をもってすべての基督信徒の義務を果すこととを願いつつ、そして彼の栄光の増進と彼が代って死にたもうた人々の救拯とのために彼の御国を人々の間に前進せしめんことを熱心に望みつつ、彼の忠実な弟子となることと彼の教の文字と精神とに厳密に一致して生きることを、この時よりのち、神に対しまた相互に対して、厳粛に契約する、そして適当な機会のある場合には我々は試験、洗礼、入会のためにいずれかの福音主義教会に出頭することを約する。

  我々は信ずる、聖書は言葉をもってせる神より人への唯一の直接の啓示、光栄ある未来の生命への唯一の完全無謬な指導者であることを。

  我々は信ずる、我々の憐み深い父、我々の公正にして至上なる支配者にいましたまい、そして我々の最後の審判者にいましたもうべき、ひとりの永遠の神を。

  我々は信ずる、すべて心から悔いそして神の御子を信ずる信仰によっておのが罪の赦しを得る者は、この生涯を通じて聖霊によって恵みゆたかに導かれ、そして天の父の注意深い摂理に護られ、かくしてついには贖われた聖なる者の享受するもの追求するものにあずかる備えをなさしめらるべきことを、しかし福音の招きを受けることを拒むすべての者はおのが罪の中に滅び、主の御前から永久に退けられなければならないことを。

  以下の誡は我々の地上の生涯のあらゆる転変を通じてこれを記憶しこれに服従することを約する、――

  なんじ、心を尽し思を尽して主なるなんじの神を愛すべし、またおのれのごとくなんじの隣人を愛すべし。

  なんじ、いかなる被造者または被造物贓物のいかなる彫像またはいかなる肖像をも排すべからず。

  なんじ、主なるなんじの神の御名をみだりに用うべからず。

  安息日を憶えてこれを聖く守り、すべて不必要の労働を避け、これをできるかぎり聖書の研究となんじ自身および他人の聖なる生活への準備のために献ぐべし。

  なんじ、なんじの両親と支配者に服従し、これを敬うべし。

  なんじ、殺人、姦淫、あるいは他の不潔、窃盗、あるいは欺瞞を犯すべからず。

  なんじ、なんじの隣人に何の悪をも為すべからず。

  絶えず祈れ。

  相互の援助と奨励のため我々はここに『イエスを信ずる者』の名のもとに一団体を構成する、そして我々は聖書あるいは他の宗教的書籍文書の閲読のため、会談のため、祈祷会のため、我々が生活をともにする間、毎週一回以上集会に出席することを固く約する、そして我々は衷心より願う、聖霊の我々の心における明白なる臨在が我々の愛を活気づけ、我々の信仰を強め、我々を真理の救拯的知識に導きいたらんことを。(23~24)

 

 鑑三は「イエスを信ずる者たちの契約」の内容をどこまで理解していたのか。それまで神社に礼拝していた鑑三、聖書を読んでいなかった鑑三が「契約」の内容に関して十分理解していなかったことは当然である。当時十七歳の鑑三がキリスト教に対する知識もほとんどない状態で、この「契約」に署名したことをどのように受け止めたらいいのか。鑑三自身は祖国の神に対する〈反逆〉〈背教〉と捉えているが、はたしてそれをどこまで深刻に考えていたのか甚だ怪しい。キリスト教の信仰を棄てずに〈踏み絵〉を踏んだ隠れキリシタンのように、当時の鑑三は日本の神々を信じながら、先輩たちの強制に屈した振りをして「イエスを信ずる者たちの契約」に署名したのか。

  『余は如何にして基督信徒となりし乎』を読む限り、鑑三が「契約」に署名するにあたって深刻な〈あれかこれか〉のジレンマに苦しんだようには思えない。入学してからわずか三ヶ月で強制に屈した鑑三の苦悩などたかが知れている。署名しなければ殺すぞと脅かされていたわけでもないし、署名はあくまでも個人の意志に委ねられているのであるから、要するに鑑三はだらしなくも強制に屈して自らの意志と良心に背いて祖国の神に対する〈反逆者〉〈背教者〉となったのである。鑑三がこのような過激な言葉を使っているから、ここではその言葉をそのまま使用しているが、その実態はそんな大袈裟なことではない。神道においては、神道の神を信じない者を〈反逆者〉〈背教者〉として厳しく裁いたり罰したりすることはない。ひとり鑑三だけが神社に参拝して大袈裟な感情に浸っただけのことである。こういった表面上、大袈裟な感情は持続することが難しい。現に、鑑三はすぐに「契約」に署名しているのだから自らそれを証明していることになる。書かれた文章に冷徹な眼差しを注ぐ者にとって、鑑三の文章は眉唾物にさえ見えるのである。

 

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