随想 空即空(連載99)内村鑑三の不敬事件を巡って#ドストエフスキー&清水正ブログ#

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随想 空即空(連載99)内村鑑三の不敬事件を巡って#ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

 鑑三は次のように続ける。

 

  カレッヂの世論はあまりにつよく余に反対であった、それに対抗することは余の力におよばなかった。彼らは左に掲げる契約に署名するよう余に強制した、とせこか極端な禁酒論者が手に負えない酔払いを説き伏せて禁酒誓約に署名させるやり方であった。余はついに屈した、そしてそれに署名した。余はかような強制に屈服せずに踏みとどまるべきであったかどうか、しばしば自問自答する。余は当時わずか十六歳の一少年にすぎなかった。そしてかように余に『入れ』と強制した生徒たちはみな余よりはるかに大きくあった。かくて、ごらんのように、余の基督教への第一歩は、強制されたものであった。余の意志に反して、また(余は告白しなければならぬ)いくぶん余の良心にも反して。(22)

 

 ここには良くも悪くも鑑三の特徴が端的に表れている。命がけで祖国の神に帰依していたはずの鑑三が、実にあっけなく先輩たちの強制に屈している。鑑三の言葉によれば、彼は自分の意志と良心に反して強制に屈したのである。自分で正直に告白しているからと言って済まされる問題ではない。鑑三はクリスチャンとなっていた先輩たちから見れば祖国の神を礼拝する〈異教徒〉であり〈偶像崇拝者〉であり〈木石礼拝者〉であった。クラークの直接的な教え子たちであった先輩たちが自らのキリスト教的信念に従って後輩たち異教徒の布教に乗り出したことはわからないわけではない。しかし未だ聖書をろくすっぽ読んでもいなかった鑑三たち二期生が次々と「イエスを信ずる者たちの契約」に署名したことには納得しがたいものがある。

 鈴木俊郎や政池仁の詳細な研究・評伝によれば、太田(新渡戸)稻造や宮部金吾は鑑三よりも先に「イエスを信ずる者たちの契約」に署名している。東京の英語学校から札幌農学校に第二期生として入学した二人の友人が鑑三の意志に反して早々と署名した理由はなんなのか。詳細な評伝にもこの点についての言及はない。特に宮部金吾は宿舎で鑑三と同室であり、署名をめぐっていろいろと議論があっても不思議ではないが、署名に至るまでの宮部の証言などは何一つ記されていない。

 太田(新渡戸)稻造も宮部金吾も鑑三と同様、聖書に関する知識は浅薄な次元にとどまっていただろう。にも拘わらず、どういう外的内的事情で異教の神に絶対帰依する契約に署名したのか。ここには多くの疑問が手つかずのままに放置されている気がする。太田(新渡戸)と宮部に関しては何の資料もないので、ここでは鑑三にのみ焦点を絞るが、いずれにしてもこの「イエスを信ずる者たちの契約」は謂わば開国か攘夷を迫る外的〈強制〉であったことに間違いはない。聖書も未だ本格的に読まず、イエスのなんたるかも判然としない時点において、この〈強制〉と〈署名〉は純粋に宗教的次元の問題ではなく異国における基督教布教という〈政治的〉次元の問題という側面を隠し切れていない。

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