随想 空即空(連載100)内村鑑三の不敬事件を巡って#ドストエフスキー&清水正ブログ#
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随想 空即空(連載100)内村鑑三の不敬事件を巡って#ドストエフスキー&清水正ブログ#
鑑三は『余は如何にして基督信徒となりし乎』で「イエスを信ずる者たちの契約」を具体的に記しているが、その内容に踏み込んで言及していない。鈴木俊郎と政池仁の評伝を読んでも、第一期生と第二期生が「イエスを信ずる者たちの契約」の内容に関してどういった議論が展開されたのか書かれていない。
わたしの率直な感想を言えば、クラークの第一期生に与えた影響の強さである。クラークのキリスト教信仰に裏付けられた人間力の強大さが、若い優秀な青年たちに与えた影響の凄さをまざまざと感じる。
クラークを札幌農学校の副校長として招聘した開拓長官黒田清隆は、クラークがキリスト教的教育を施すことに反対していた。が、クラークは黒田清隆との議論において一歩も引くことはなかった。黒田清隆はしぶしぶクラークの方針を認めざるを得なかった。この間の事情は鈴木俊郎と政池仁の評伝において詳細に記されている。わたしはその箇所を読んで不思議な感情を抱かされた。我が国最初の官立大学と言ってもいい札幌農学校の教育理念の根底に異国のキリスト教を据えるということに対して、事情はともあれ黒田清隆が認めたということ、この事実は看過できない重大事である。鑑三の言葉で言えば、まず農学校の学生の誰よりも先に開拓長官黒田清隆が祖国の〈反逆者〉〈背教者〉となっていたということである。換言すれば、黒田清隆にはクラークのキリスト教的信念を超える日本独自の国家・宗教・教育理念がなかったということである。もし黒田清隆がクラークと教育の根源的な理念に関して真剣な議論を展開していれば、キリスト教にたいする我が国の神道的理念(加えて儒教、仏教)との格闘も明確になったはずだが、こういった重要なことが曖昧に処理されてしまったことが、鑑三の「イエスを信ずる者たちの契約」署名に対する最初の反抗と妥協の性格に引き継がれたと言ってもいいだろう。
鑑三は署名の強制に屈した反逆者であり背教者であるが、そのことを誰にも責められることはなかった。親友の太田と宮部は鑑三よりも先に署名していたから、鑑三の署名を歓迎こそすれ責める立場にはない。つまり鑑三は結果として祖国の神を裏切りながら、そのことを責められないままに〈キリスト者〉になりすますことになった。これは自己欺瞞にほかならない。自らの死まで覚悟していたというのに、強制に屈して異教の神に帰依するというのは許し難い行為である。が、鑑三は自らのこの卑怯な行為を凝視することはなかった。
署名するまでの鑑三の態度は一貫しているように見えて実はそうではない。鑑三は死を覚悟してまで署名を拒否するつもりはない。鑑三は強制に対して烈しく抵抗していたかのように書いているが、その内的実状においては深く迷っており、こういった類の迷いはすぐに看破されてしまうものである。表面上、烈しく拒み抵抗する者の〈曖昧〉を、確信に生きる者たちは決して見逃さない。鑑三は生涯にわたってこの彼独自の〈曖昧〉を凝視することができずに、つねに自分をヨブ的苦悩者と思いこんでいた。2023/08/15 15:57★付箋文★
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