随想 空即空(連載77)内村鑑三の最初の結婚と破局を巡って#ドストエフスキー&清水正ブログ#

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清水正

 

 鑑三の手紙を読んでいると気分が苛つく。わたしにはわたしなりのクリスチャンのイメージがあるのだが、わたしのそのイメージに鑑三の手紙はまったく合致しないのである。先から何度も書いているが、自分が愛して結婚した女に対して〈羊の皮をかぶった狼〉と手紙に書いて送っていること自体が許しがたい行為であると思うからである。こういった行為自体が〈武士道〉から外れたと行為だと言う前に、単純に男らしくない行為、人間としてやってはいけない行為と思うからである。もちろん、鑑三の煩悶が分からないわけではない。しかしその煩悶がなんかピントの外れた煩悶に思えてしまうのである。こういった長い手紙を何度ももらった宮部金吾はどのように思っていたのだろうか。少しばかり気になるが、鑑三宛の宮部金吾の手紙は残っていないらしい。宮部金吾や太田(新渡戸)稻造が鑑三の手紙を大切に保管していたのに、鑑三は彼らの手紙を保存しておくほど大事にしてはいなかったのであろうか。

 〈羊の皮をかぶった狼〉は〈狼の皮をかぶった羊〉でもあるという観点というか、懐の深い愛情が鑑三には感じられない。鑑三の苦しみ悩み悲しみ、どうしようもない煩悶は分かった。しかし鑑三は彼の元を結婚して七ヶ月ばかりで去っていかなければならないタケの苦しみ、悩み、悲しみ、どうしようもない煩悶に寄り添ってみようとはしていない。鑑三は自分の気持ちでいっぱい一杯で、相手の心を思いやる気持ちに欠けている。

 男と女が愛し合い、結婚し、別れることになった。その原因は探り出せばきりがなかろうが、鑑三のように神だのキリストなど持ち出さなくても、もっと現実的な次元で冷静に考えればあんがい単純に理解されるだろう。鑑三と同じ歳のタケが、大所帯の内村家に嫁いできてうまくいくわけはないだろう。しかも鑑三の母親はタケとの結婚に大反対していたのである。内村家の〈嬶天下〉ヤソの統治下に、学問のある賢い女学校出のタケが素直に従えるわけはないのである。しかも農商務省の役人として鑑三は五月に入って一ヶ月ばかりの出張で家を空けている。ほんの少し想像力のある、新妻思いの夫であれば、タケがどれだけ辛い思いでいたかを察することができるだろう。洗濯、掃除、食事、買い物などを姑のヤソとどのように手分けしていたのか、詳しいことはなにもわからないが、要するにこういった細々とした家事のことで姑と嫁の取り返しのつかない確執が生まれるのである。病気がちだったという姑ヤソと隠居の舅宜之、それに四人の鑑三の弟妹たちの面倒をいったいだれがみていたのか。こういったことは結婚する前にタケと具体的に話し合っておかなければならない。話し合って十分に了解してすら、姑と嫁とがうまくいくことはほとんどないのである。鑑三はこういった新妻タケに対しての配慮ができていない。鑑三の頭はきれいごとの次元で煩悶しているだけである。怜悧な眼差しを注げば、鑑三の信じているキリスト教が現実の実際的な問題に関して無力であったということである。

 鑑三の手紙には〈四つか五つの証拠〉が何一つ具体的に記されていない。「全精力を傾けて問題を精しくしらべた」と書いた以上は、その〈証拠〉なるものを記してもらわなければスッキリしない。鑑三全集などで彼の手紙を読むことはできても、タケの鑑三宛の手紙は残っていない。タケ宛の鑑三の手紙も破棄されて残っていないと伝えられている。

 タケの側の証言はタケ本人及び浅田家の者(タケの母、タケの兄、兄嫁など)が積極的に鑑三からの手紙やタケの日記などの資料をきちんと残しておかなければ後世に伝わることはない。一時の感情や個人的な判断でそれらを破棄したりすることは極力避けなければならない。今後、タケ側の資料が出てこないとは言えないが、今の時点では資料は鑑三側に集中しており、鑑三とタケの離婚問題を考える上で、資料の面ではタケ側が圧倒的に不利である。しかし、鑑三の手紙や研究者の評伝などを徹底的に読み込んでいくことによって、鑑三の手紙に記されていない〈〈四つか五つの証拠〉をめぐって想像力を逞しくすることはできる。

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