随想 空即空(連載181)

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随想 空即空(連載181)

清水正  

 ドストエフスキーの描いた『悪霊』のチーホン僧正や『カラマーゾフの兄弟』のゾシマ長老は〈金襴の袈裟の僧〉の範疇から逸脱した存在であり、キリストの具現化を目指したと言われるムイシュキン公爵は一本の杖と袋に象徴される巡礼者の貌を備えている。ドストエフスキーの人物たちは多かれ少なかれ精神の分裂を抱え込んでおり、聖性が強調されればされるほど、そこに悪魔的要素がにじみ出てくる。チーホンはニコライ・スタヴローギンの神に対する根源的な反抗と絶望をニコライ以上によく理解しているし、アリョーシャが敬愛してやまないゾシマ長老は〈清廉潔白〉な貌の下に淫蕩な貌を隠している。そのことを直感的に嗅ぎつけていたのがフョードル・カラマーゾフだが、ドストエフスキーの大半の読者はその秘密を暴くまでに至っていない。ドストエフスキーの文学の特質性を二つあげれば、一つは〈憐憫・同情〉を意味する〈сострадание〉であり、もう一つは〈色欲・淫蕩〉を意味する〈сладострастие〉である。

 貧しい者、病んでいる者、悲しんでいる者、苦しんでいる者たちに限りのない〈憐憫・同情〉を注ぐ代表的な人間がイエスであり、ドストエフスキーはこのイエスをモデルにしてソーニャやムイシュキン公爵を造形した。問題はソーニャが淫売婦であり、ムイシュキン公爵が殺人者ロゴージンと深く共犯関係を結んでいたことである。その意味でドストエフスキーは人間イエスの深部に大胆に踏み込んでいる。人間が人間である以上、生来的に悪を抱え込んでいる。悪や罪から逃れきれないのが人間である。が、キリスト教の教義においてイエスは罪のない〈神の独り子〉となっている。ドストエフスキーの人間観からすれば、罪のないイエスはもはや人間ではないことになる。神の問題で生涯苦しんだというドストエフスキーが無罪のイエスをどのように見ていたのか、その具体的な言説を知ることはできないが、アリョーシャの内部に巣くう〈悪魔の子供〉をアリョーシャ自身の口から言わせているのを見ても、ドストエフスキーの〈神〉や〈イエス〉に向けられた〈不信と懐疑〉は途方もなく深かったと言えよう。

 ドストエフスキーの大胆な実験はソーニャを娼婦に、ロジオン・ラスコーリニコフを殺人者に設定したことに如実に現れている。イエスは無罪だが、キリストを必要とするキリスト者ソーニャと、キリストを必要とする求道的思弁者ロジオンを共に罪を犯す人物として設定したこと、このことのうちにドストエフスキーの妥協なき根源的な不信と懐疑が潜んでいる。

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