随想 空即空(連載55) #ドストエフスキー&清水正ブログ# 清水正

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随想 空即空(連載55) #ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

 

 わたしはかつてポリフォニック的思考を身につけるためには、唯一絶対的な《我》を崩壊させなければならないと書いた。ひとたび、絶対的な《我》を崩壊させてしまった者は意識空間において分裂した様々な〈我〉と対話的な関係性を取り結ぶことになるが、再び絶対的な《我》を奪回することはできない。『カラマーゾフの兄弟』に例をとって言えば、ドストエフスキーの意識空間には〈イヴァン〉も〈アリョーシヤ〉も等価なものとして存在するということである。〈イヴァン〉は神の存在を否定し、〈アリョシャ〉は神の存在を認める。それではドストエフスキーは神の存在を否定するのか肯定するのか。もしドストエフスキーが唯一絶対の《我》を崩壊していないのであれば、当然どちらかの側につかなければならない。もし絶対的な《我》を崩壊しているのであれば、ドストエフスキーの意識空間には〈イヴァン〉も〈アリョーシャ〉も存在することになる。〈作者〉は指揮者として〈イヴァン〉の声も〈アリョーシャ〉の声も等価なものと見なしていることになる。ポリフォニック的思考を基にした指揮者は、各演奏者の独自の声を尊重し、決して一つの声を支持したりはしない。一人物であった〈イヴァン〉は自らの精神の分裂に耐えきれず、発狂してしまうが、ディオニュソス的小説家ドストエフスキーはポリフォニック的思考法を駆使して狂気から免れている。わたしはポリフォニック的思考法を身につけた精神の分裂者を〈意識空間内分裂者〉と名付け、精神病者の精神分裂と明確に区別した。

   さてドストエフスキーであるが、彼は『作家の日記』で戦争肯定を主張する時の〈我〉を、自らの意識空間内における一つの〈我〉と認識していたとは言い難い。ドストエフスキーは戦争をめぐってポリフォニック的思考法を駆使せず、その一つの〈我〉の主張を唯一絶対の《我》の主張のごとくに記している。ポリフォニック的思考法を駆使した小説においては、各人物の主張は対話的に展開され、そのどれもが絶対的一義性を賦与されることはない。ところが、この複雑な精神世界の所有者はどういうわけか『作家の日記』で時評家としてペンを握るとたちまちモノローグ的な物書きになりすましてしまう。時評家ドストエフスキーの一義的主張を別の視点から覆すような〈我〉の存在の登場が許されないのである。

 この観点からすれば、ドストエフスキーはポリフォニック的思考法の恐ろしさ、すなわち唯一絶対的な《我》の崩壊ということを真に理解していたとは言い難い。ドストエフスキーは決して決着のつかない対話的原理を作品に適用しながら、そのアポリアを解決しないままに時評文では熱狂的なモノローグ的存在ぶりを発揮する。ポリフォニック的思考法の原理を理解しない者は、この無意識的とも見える〈詐欺〉を看破することができない。興味深いのは、ドストエフスキー文学のポリフォニック性を指摘したミハイル・バフチンその人が、このポリフォニック的思考法が唯一絶対の《我》の瓦解を前提とすることに無自覚であったことである。

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