随想 空即空(連載52) #ドストエフスキー&清水正ブログ# 清水正

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随想 空即空(連載52) #ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

 

 ドストエフスキーを読んでキリスト教信徒になれるということはどういうことなのか。人間の心の中には、神と悪魔が存在していて永遠に決着のつかない闘いをしている、とドミートリイ・カラマーゾフは語った。それを聴いているアリョーシャはそのことをすぐに認める。なぜならアリョーシャの内にも悪魔が潜んでいるからだ。もし、心の内の神が悪魔に勝利を収めたら、いったい人間の精神はどのような働きをするのだろうか。もしそれが実現したら人間に固有の精神世界は消滅してしまうのではなかろうか。イヴァンは、この世界はプラスとマイナスから出来ているのでそれ以外ではないと語っていた。人間世界に悲しみ、苦しみがなくなれば、喜びも楽しみもなくなる。喜怒哀楽はそのどれもが欠けていても人間精神を成立させることはできない。音楽、演劇、文学、宗教が成り立つのは、要するに人間の精神世界に〈神〉と〈悪魔〉が決着のつかない闘いを続けているからであって、宮沢賢治が言うような「世界全体が幸福」になるということは要するに世界そのものが消滅するということである。世界が続く限り、人間が生存する限り、各人は自らの喜怒哀楽のドラマを生きるほかはない。

 わたしはユダヤキリスト教の全能の神に人間独自の〈正義・公平・真理〉を求めること自体に納得がいかない。全能の神の意志を絶対と見る神学を受け入れるよりは、自然の摂理を認める方がはるかに理にかなっている。理性的・知性的思考を保持する者が〈背理〉としての信仰をどうして受け入れることができるのか。これはわたしにとっては重要問題で、だからこそ、「弁証法の代わりに生活が到来した」という、『罪と罰』エピローグでのロジオンに対する作者の言葉を繰り返し何度でも問題にするのである。わたしの理性的思考は〈弁証法〉(диалектика)の代わりに〈生活〉(жизнь)が到来したというロジオン・ラスコーリニコフの〈新生活〉を具体的にイメージすることはできない。『罪と罰』が復活の曙光に輝くロジオン・ラスコーリニコフの物語として幕を下ろした以上、わたしはこの作品を〈偉大な宗教思想〉を孕んだ〈幻想小説少女小説〉ととらえるほかはない。こう書いたからと言ってわたしは〈少女小説〉をバカにしているわけではない。ドストエフスキー文学によって鍛え上げられたわたしの理性的思考力は、十八歳の少女娼婦に〈お母っさん〉の救済的イメージを賦与した『罪と罰』のエピローグに納得がいかないと言っているまでのことである。

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人間のあるべき姿を検証する。人道主義ヒューマニズム)と宗教の問題。対話によって世界平和の実現とその維持は可能なのか。人道主義一神教的絶対主義は握手することが可能なのか。三回に分けて発信していますがぜひ最後までご覧ください。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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