随想 空即空(連載53) #ドストエフスキー&清水正ブログ# 清水正

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随想 空即空(連載53) #ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

 

 吉村善夫はシベリアでのロジオンの、復活の曙光に輝いた姿を文字通り認めるのであろうか。もし、そうだとしても、スヴィドリガイロフやポルフィーリイ予審判事が提起している信仰上の問題に関しては何ら納得のいく説明をなしていない。

    「まったくおしまいになってしまった」ポルフィーリイはロジオンにキリストの言葉に従えとアドバイスできる男だが、この男自身は神を信仰しているのか不明である。ロジオンと〈同じ森の獣〉であるスヴィドリガイロフはドゥーニャに拒絶され、ピストル自殺して果てる。スヴィドリガイロフ(Свидригайлов)は〈ラザロの復活〉朗読場面の〈立会人・目撃者〉(свидетель)であり、〈現実的に奇跡を起こす人〉(чудотворец)であった。スヴィドリガイロフはソーニャを淫売稼業から救いだし、三千ルーブリの金銭的援助を施す。ソーニャがロジオンをシベリアに追って行けたのはまさにスヴィドリガイロフのおかげである。

    わたしの見るところ、ロジオンとソーニャは性的関係(霊肉合致の関係)を持っているが、このロジオンと〈同じ森の獣〉であったスヴィドリガイロフはロジオンより前にソーニャと性的関係を取り結んでいる。スヴィドリガイロフは単に〈ラザロの復活〉朗読場面を壁一枚隔てた隣室で立ち会っていたばかりでなく、ロジオンとソーニャの〈霊肉合体〉の場面にも立ち会っている。『罪と罰』をきれいごとの〈少女小説〉の次元でのみ読んでいたのでは、この小説を真に理解したとは言えない。

    『罪と罰』という偉大な思想小説、宗教小説を壮大緻密な〈私小説〉風に再構成すれば〈少女小説〉は一挙に霊肉を賦与された人物間のリアルな物語へと変貌することになろう。わたしはそれを〈批評〉で実現しているのである。要するに『罪と罰』における愛と信仰の問題は、ロジオンやソーニャ、マルメラードフやカチェリーナだけを追っていてもだめなのである。スヴィドリガイロフ、ポルフィーリイ予審判事、レベジャートニコフ、ルージン等にも深い眼差しを送らなければならない。

    作者はレベジャートニコフにも〈キリスト幻想〉を賦与している。また熱くもない冷たくもない、神の口から吐き出されてしまう〈生ぬるき者〉ルージンをも〈愛と信仰〉の次元で取り上げなければならない。わたしの〈批評〉の眼差しは、神が吐き出した者にさえ眼差しを注ぐ、当然、殺されたアリョーナ婆さんやリザヴェータもその例外ではない。ユダヤキリスト教の神では充足し得ない問題がある。わたしはそれらを視野において〈愛と信仰〉、〈不信と懐疑〉を問題にしているのである。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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