随想 空即空(連載50) #ドストエフスキー&清水正ブログ# 清水正

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随想 空即空(連載50) #ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

 

 『罪と罰』はロジオン・ラスコーリニコフが復活の曙光に輝いた場面で幕を下ろしたが、ロジオンの提起した諸問題がそのことですべて解決したわけではない。神の存在と信仰の問題は、わたしの目には何も解決していない。ロジオンは依然として二人の女を殺害したことに関して〈罪〉(грех)の意識を感じていない。罪の意識を感じない者が、復活の曙光に輝くとはどういうことなのか。作者ドストエフスキーはこの点に関して特に言及していない。それに殺された二人の女の問題はどうなのか。アリョーナ婆さんは〈社会のダニ〉扱いされて殺されてしまい、リザヴェータは殺害現場の目撃者ということだけで殺されてしまった。『罪と罰』全編を通してロジオンがリザヴェータ殺害に対して良心の呵責に苦しめられる場面はない。『罪と罰』の読者の大半は主人公ロジオンに多大の興味を持って読み進めるが、殺された二人の女に関しては、特にリザヴェータに関してはその存在さえ忘れられがちである。敏腕なポルフィーリイ予審判事でさえ、ロジオンが殺したのはアリョーナ婆さん一人だけであったかのようセリフを吐いている。

    私は初めて『罪と罰』論を執筆した二十歳の昔から、リザヴェータ殺害に注目していた。ロジオンの非凡人思想(アリョーナ婆さん殺し)の背後に革命思想が隠されていたことはリザヴェータ殺しによって明確になる。革命家教理問答においてネチャーエフは、革命という目的のためにはすべてが許されていることを明記している。リザヴェータは善良なキリスト者であるが、ロジオンの犯罪を目撃した以上は殺される運命にあったのである。恐るべきは、革命理論においては〈リザヴェータ殺し〉は〈母親プリヘーリヤ殺し〉〈妹ドウーニャ殺し〉〈ソーニャ殺し〉……を予め内包しているということである。『罪と罰』において作者ドストエフスキーはロジオンの犯行現場の目撃者に母や妹、ソーニャなどを敢えて設定しはしなかったが、理論上はそうなるのである。『罪と罰』の読者はドストエフスキーがテキストに仕掛けた〈革命理論〉を認識することができずに、エピローグでの殺人者の復活の曙光に感激したりする。本当にロジオンの復活に感動するなら、自らもまたキリスト者にならなければならないだろう。『罪と罰』を真剣に読むとは自らの実存に賭けて読むということである。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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