随想 空即空(連載49) #ドストエフスキー&清水正ブログ# 清水正

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随想 空即空(連載49) #ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

 

 ドストエフスキーの文学を読んで精神の分裂を体験しない者はいない。もし体験しない者がいるとすれば、その人はドストエフスキーの世界に参入したとは言えないだろう。『罪と罰』ひとつ取ってみても、読者はロジオンの分裂した精神世界を彷徨することになる。幼少時のロジオンはキリスト教の世界に生きていても、成人すれば当然、理知の洗礼を受けることになる。無批判で純朴な信仰を保持できるわけがない。農奴たちの純朴な信仰が、皇帝による専制政治体制を維持させる大きな要因であったことは疑い得ない。首都ペテルブルクに出て新思想に触れたロジオンが、過激な革命家たちの思想に影響を受けないわけがない。ただし、ロジオンと革命家たちの接触、並びにロジオンが革命思想に関してどのように思っていたかについて、作者は慎重に回避している。

    『罪と罰』の出だしの場面で、ロジオンが思い惑いながらのろのろとК橋の方へと歩いていったことが描かれている。ロジオンは当初から〈思い惑った〉青年として描かれている。作品の表層をなぞっていけば、その思い惑いは「おれにアレができるだろうか?」ということになる。しかし何度も指摘しているように〈アレ〉は高利貸し殺しのみを意味しているのではない。この、作者がわざわざ〈это〉(アレ)をイタリック体にして読者に暗示していたのは〈皇帝殺し〉であり〈復活〉である。つまりロジオンは〈革命か神か〉という問題に関して深く思い惑んでいた〈一人の青年〉だったということになる。

    結果として、ロジオンは弁証法の代わりに生活を獲得する。しかし、ロジオンの復活の曙光は、作者によって与えられたものであり、ロジオンの内的欲求によって実現したとは言い難い。エピローグというある種の叙述上の仕掛けによってロジオンは〈復活の曙光〉に輝いたまでのことで、ロジオンにおける信仰の問題な未だ完全な解決を得たとは言えない。〈弁証法〉はそれ自体〈信仰〉を永遠に拒む働きを持っている。一度弁証法的思考に耽ったことのある青年ロジオンが、はたしてこの弁証法を棄てきることができるのか。弁証法には弁証法の力があり、この力は、本来、信仰の前に屈するものではない。〈信仰〉を絶対視することの危険に対して、弁証法的思考は不断に警告を発することができる。元淫売婦と元殺人者の二人の信仰者は、現実の世界においていったいどのような力を発揮することができるのだろうか。現実のロシアは、皇帝暗殺、革命へ向かって着実な歩みを開始した。〈革命か神か〉の問題は、まさに十九世紀中葉ロシアの先鋭的な現実問題であった。2023/01/28 08:46

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人間のあるべき姿を検証する。人道主義ヒューマニズム)と宗教の問題。対話によって世界平和の実現とその維持は可能なのか。人道主義一神教的絶対主義は握手することが可能なのか。三回に分けて発信していますがぜひ最後までご覧ください。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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