小林リズムの紙のむだづかい(連載388)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載388)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru)から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru

日藝・江古田校舎購買部に平積みされています。

江古田購買部の小泊さん。お世話になっています。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
小林リズムの紙のむだづかい

【泣きながら演説】



「はじめてだもん、浮気されたの。
豊洋がすごくぞっこんなんだよね、その子に。だから今すぐには別れないと思うの。でも豊洋は遠距離が辛いとか会えないのが寂しいとか思う人だから。そうやって苦しんでいる姿を見届けようと思う。きっと泣いてあたしのところに戻ってくるのを待ってるんだよね。
こんな最低なことされてひどい奴だと思うけど、でも好きで。あんな奴のことが好きなあたしも最低なんだよね。会いたいけど会いたくない。話したいけど話したくない」

夕方のコーヒーチェーン店で、だぼっとした黒のニットを着た女の子が友達に向かってしゃべっていた。鼻をぐずぐずさせて、途中で言葉を止めながら、一生懸命に話している。店内に流れている曲は、奇しくもラブストーリー映画の名作『ある愛の詩』のテーマソングであった。聞き覚えのある曲で、そのせいか切なげに語る彼女が余計に悲劇のヒロインみたいに見えた。

「自分でも気持ち悪いんだけど、豊洋と一緒に歩いた場所とか歩いちゃうんだよね、ホウヨウの家の近くに行ったりとか。ストーカーじゃん、自分キモイって思うけど。でももしかしたら会えるかもって思って。けど会ったら会ったで絶対私は逃げたと思う。結局、会えなかったんだけど。途中から雨が降ってきて。雨に濡れてたら余計悲しくなってきて…親に夕飯いらないって連絡した」

どうやら豊洋くんという付き合っていた男の子に浮気をされた挙句、振られてしまったらしい。悪趣味な私は、隣の席でその話を盗み聞きしながら、即刻テープ起こしのようにしてカタカタとキーボードで話した言葉を打ち込んでいる。

「今日、なんでふたりに話したかというと、シオリンとかミヨナとかに話すと『そんな男と別れて正解だよ』とか『他にもいっぱい良い人いるって』って言われると思ったんだよね。あたしの気持ちもわからないくせに。そういうの嫌だったからふたりに話したの…。本当はあてつけに他の男の先輩と話そうかと思ったけど、先輩は部活だって言ってたから…」

彼女はこげ茶のショートカットで、目が大きかった。ニットを指先まで引っ張って伸ばしながら、出てきた鼻水を拭っている。悲しみと怒りと苦しみとでごっちゃになっていて、話していることも一方的で勝手だった。聞いている友達は、同情したような顔で覗き込み、なんと言葉をかけていいか迷っているようだった。

「確かにね、浮気されたあたしにも悪いことがあったよ。でもさ、豊洋は開き直ってるじゃん。あいつからしてみればあたしが悪いわけだし、あたしも豊洋が望むあたしでいられなかったっていうのはあるよ。だから責めるつもりもないし、それなら自分を責めるけど。でも相手の女のもとにいくのが許せない。すごい今傷ついてるし辛いし苦しいんだけど、絶対に取り戻してやるっていう気しかしない。

でも…絶対に取り戻せるっていう自信はないの。もう、何をしたら正解なのかがわかんない。相手の女のブログをみてるともう豊洋と会いたくないとか思うんだけど、やっぱ悲しいんだよね。1年も付き合って毎日LINEしてたし。はじめて今連絡を途絶えてる。それが辛くて仕方ないの」

こんなに人を好きになったのは初めてなの、と彼女は泣いていた。そんなに人を好きになれるなんてちょっといいな、とヒロインをチラ見しながら脇役の私は思った。




 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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