星エリナのほろよいハイボール(連載75)

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ドラえもん』の凄さがわかります。
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星エリナのほろよいハイボール(連載75)


女子バトルに負ける
星エリナ

 
 先日、とある旅行会社の面接を受けた。職種は店頭営業。お客様に旅行をお勧めするお仕事。実は一度、営業セミナーというものに参加したとき、車の営業と旅行の営業を少し体験させていただいた。その時に、車より旅行について仕事するの楽しいなと思って受けてみたのだ。
 正直、エントリーシートで落とされてしまうと思っていた。大手の会社は全て書類選考で落ちているからだ。面接に進むことができる、というだけで少し認められた気もした。会場に着くと、50前後のイスが置いてある。全部で9列になっている。受付へ行くと、私は9列目に座るように指示された。9列目には私を入れて3人が座った。よく見ていると、他の列は5人いる。隣の子たちと目を合わせた。私たちだけ、3人・・・・・・。面接ルームに案内される途中、遅刻してきた女の子が入ってきた。9列目の一人だったのでこれで4人。こうして不安なまま面接ルームへと向かう。
 面接ルームへ入ると、面接官が3名いた。なんと、全員女性。そして私達学生も全員女の子。女子7人の不思議な空間ができた。この時点でかなり緊張はしていた。まず最初の質問は、志望動機と自己PR。一番左端に座った子が喋りだした途端、さらに緊張が増した。
「はいっ! 私はっ! 御社の社風にっ! 強く感銘を受けっ!」
 声の大きさ、はきはきとした喋り方、全てがまるで訓練された兵士のようだった。キラキラしたシューカツ女子。二番目の女の子もとても上手に頭の中にある原稿を読んでいた。
「私は、ラクロス部の主将を務めました! 常にメンバーのことを考えて行動しています!」
 そして私の番。逆にゆっくりと聞き取りやすいように話せば印象に残るのではないかと思い、落ち着いて話し出した。しっかり自己PRができた、と思っていると不意に視界に左隣の女の子の顔が入ってくる。私の前に話した子だ。私の顔をやや覗きこむように見て、私の話にすごく頷いてくれている。が、それがものすごーくプレッシャー!!目が合うとニコっと笑ってくれたのだけれど、それがニヤッとほくそ笑まれたように感じ、志望動機を喋っていた私の口が止まってしまった。繋げなくてはいけないのに、言葉が出てこない。
「申し訳ありません……」
 そう言うと、面接官は緊張しちゃったのかな、と苦笑い。そこからなんとか志望動機を言うことはできたが、女のバトル、恐ろしい。私の右隣の女の子も他の二人と同様にはきはきと声が大きいシューカツ女子だった。
 帰り道は駅まで四人で歩いた。グループワークをした際にはスムーズに話し合いが進み、みんな「このメンバーでよかったですー」とか言っていたけれど、みんなが私のこと「こいつ絶対落ちた(笑)」と思っていたこと、見抜いている。
 その通り、残念ながら落ちました。

 
 
※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。