星エリナのほろよいハイボール(連載74)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。


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四六判並製160頁 定価1200円+税

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ドラえもん』の凄さがわかります。
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星エリナのほろよいハイボール(連載74)


辞め8を読む
星エリナ

 

 辞め8とは「どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった8日で辞めた話」の通称。私と同じく清水先生のブログでエッセイを連載している小林リズム先輩の本。地元川越の書店にてゲットした。
 帯に書いてある言葉が印象に残っている。
「辞める」選択肢がある人は強い。
 果たして、今の私にそれはあるだろうか。
 昼過ぎに家に帰り、ソファで本を開いた。それから一時間半ほどで読み終わった。シューカツ中な私にとって、会社の情報や営業の仕事などはとても興味があったので、どんどん読まなくちゃと感じた。そして、地獄とはどんなものか、怖いもの見たさのような感覚でページを捲った。
 正直、今の私は当時のリズムさんと同じ事を考えている。正社員にならなくては負け組なのではないか、と恐怖を感じている。小説家になりたい、と夢を持って大学に入ったときとは気持ちが負けている。がむしゃらに日芸というひとつの目的に突っ走っていたころとは違う。だから内定がもらえないのかも。
 夜、帰ってきた母にこの本を薦めた。なぜかというと、母は今のシューカツを知らないからだ。私が面接に行くたび落ちているのを見て、「なんで落ちるのかわからない」「ちゃんと自分の気持ちを伝えれば落ちるはずない」「御社に入りたいですって言ったの!?」と私にマシンガンを撃ちこんでくる。
 辞め8を最初に持った母は「会社辞めるなんて……」「地獄? 社会に出たってことでしょう」などと言っていた。少しページを開くと「面接でロールケーキなんておかしいに決まってる」「発達障害って……」とだんだん声のトーンが変わってきた。
 二時間もせずに母も読みきった。「すごく面白い! これだけの文章が書けるならこの子は大丈夫!」とやっぱりどこか上から目線で誉めていた。多少はゆとり世代のシューカツの苦しみがわかってくれたのかもしれない。
 それから最後に「あんたもこれくらい書けるの!?」と一言。もしかしたら、少しは私の創作活動に興味を示してくれたのかもしれない。
 リズムさんに続きたい、なんておこがましいこと思えない。私はまだ学生で、守られた空間にしかいなくて、いろんなことを必死にやっている「つもり」でしかない。本当に地獄を見てしまった人は、強くなれるということを学んだ。私も必死に何かやってみよう。まずはダイエットとかね。


 
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