小林リズムの紙のむだづかい(連載116)
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【顔ベロベロの刑】
わたしには2歳年下の弟がいて、小さい頃はよく喧嘩をしていた。…と書こうと思ったのだけど、ついこの間実家に帰ったときもホットケーキミックス(液体)を弟に投げつけてカーテンを汚し、母はヒステリックに叫び犬も父も茫然とする…ということがあったので、まあ今でも喧嘩はする。
でも、お互いに別々に暮らしはじめて小さかった頃よりはずいぶんと減った。残りの人生であと何回喧嘩をするんだろう…、数えるくらいしかないかもしれない…、と思ったら、まだ罵りあったっていいよなぁとか、思う。
「お母さんに言いつけるからね!」
というのは、子どもの告げ口常套句で、世界中の誰よりも怖い存在だった母という怪獣に言いつけられるのは、この世の終わりも同然だった。幼い姉と弟は、この言葉を駆使していかに母を自分の味方につけるかというのに躍起になっていた気がする。けれど心配性なわりに適当な母は面倒だと思ったのか、そのうち
「その喧嘩はあなたたちふたりで解決しなさいよ」
というスタンスになっていったので、わたしたちはこの勝負の結果は誰が決めるのかとやきもきしていたのだった。
泣いたら、負け。「ごめんね」を言ったら、負け。わかりやすく言えばそうなのだけど、お互い涙でぐちゃぐちゃな顔で、頑として「ごめんね」を言わない姉と弟の喧嘩は長引くし消耗する。そんなとき、弟が衝撃的なことをしてきた。
なんと、わたしに向かって唾を飛ばしてきたのだった。
じゅわっと飛ばされて顔についたそれに凍り付いた。そのときのわたしにとって、他人の唾はこの世で汚いものベスト3に余裕で入るくらいにおぞましくって、あっけにとられた。唾が…!唾がわたしの顔に…!
そして弟は捨て台詞を吐いた。
「それ以上やるんだったら、顔ベロベロになめるからね!」
わたしは喧嘩に負けた。
それからというもの「嘘ついたら針1000本飲ます」という指切りげんまんは、わたしたち姉弟のなかで「嘘ついたら顔をベロベロになめる」という恐怖ワードにかわり、針を1000本飲まされることよりも重い刑になったのだった。
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