小林リズムの紙のむだづかい(連載353)

小林リズムの紙のむだづかい(連載353)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい

【弟がおっさんになってた】



 

スマートフォンとパソコンの接続がうまくいかないと弟に泣きついたら、
「明日、就活で市ヶ谷まで行くからついでにやってあげるよ」
と言ってくれた。就活だというのに時間をとってくれるカワイイ弟。さらに方向音痴の私のために改札口まで迎えにきてくれるカワイイ弟…。やっぱ持つべきものは従順に姉の話を聞いてくれる弟ね…!と感動して改札口を出ると、そこにいたのは背広を着た渋めのオッサンだった。いや、よく見ると間違いなく弟なのだけど、彼はいつの間にかオッサンになっていた。もっさりと伸び切っていた髪の毛をカットし、前髪を分け、スーツのうえに背広を身にまとっている。柱にもたれかかりながらスマホをいじる姿も、学生には見えなかった。

絶句した。
いつの間に私の弟はオッサンになってしまったんだろう。電車に乗ってるオジサマ方たちと似たようなスーツを着て、背広を着ているなんて信じられない。

姉心で「弟も大人になったのね…」なんて感動できなかった。強いて言うなら「なんでオッサンになってんのよ!」と叫びたい気持ちだった。唯一救われたのは、おじいちゃんから譲り受けたやたらと高いネクタイをしていたこと。ネクタイはかなり明るいブルーで、とても派手だ。ベーシックなデザインとは異なった、就活には不適切なカラー。おそらく面接をしたとき、そのネクタイだと評判は悪いに違いない。
「なんなのそのネクタイ…。そんなんで就活して大丈夫なの…?」
と私が突っ込むと
「え…?これじゃあダメかな…?」
と弟はびっくりしたような顔をした。彼は決して目立つためにそのネクタイをしているのではなくて「ほかにネクタイ持ってないし、まあいっか」という気持ちで選んでいるのだった。なんとも弟らしい。私は少しほっとした。

自覚なき変人として自由気ままに生きていた弟が、就活スタートと同時に社会に埋もれていくように見えて悲しかった。いや、埋もれるというよりは、自ら社会に合わせようとしている様子が息苦しかったのだと思う。もちろんそんなふうに思うのは私の勝手な思い込みだし、弟のアイデンティティーというか個性というか、そういう芯の部分は就活によって失われたりはしない。わかってはいるけれど、就活にはそれを否定してしまいそうなくらいの力がある。自分を消して社会に合わせるのではなくて、自分を活かして社会になじんでいってほしいな、なんて思うのも姉のお節介なのかもしれない。




 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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