小林リズムの紙のむだづかい(連載217)

小林リズムの紙のむだづかい(連載217)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい(連載217)
小林リズム
  【恋人ごっこ
   小さい頃、お菓子がひとつしかないという理由で弟と喧嘩になったりすると「じゃあこれをあげるから、今日は僕がお兄ちゃんになる日ね。だからりっちゃんは今日は妹だから」という契約で弟からお菓子をもらったりしていた。なぜか弟は「お兄ちゃん」になることに憧れがあるらしく、わたしが年下というポジションにつくことが気持ちよかったらしい。そんなことよりお菓子のほうが重要だったわたしは、本当にどうでもよくって「わかった」とすんなりと頷いていた。弟がお兄ちゃんでわたしが妹の、ごっこあそび。特にこれといって妹ぶることはなく、弟もお兄ちゃんという位置につきながらこれといって兄の特権を振りかざすこともない謎なあそびだった。

 そんな「ごっこあそび」を経た22歳のわたしは最近、ひそかに自分のなかでのそのあそびが再熱している。その名も「恋人ごっこ」や「お母さんごっこ」という痛々しいひとりあそびだ。たとえばマクドナルドで照り焼きバーガーを頼むときも、あえてふたつ頼んで「うちにいる恋人(もしくは子ども)に持ち帰ってあげるのよ」というアピールをしてみたり、雑貨屋さんで赤ちゃんの靴下なんかを眺めて愛おしそうに手にとってみて「優しいお母さん」を演出したりするのだ。
 それから、駅の改札口を出たあたりでぼうっと突っ立って「恋人待ち」ぶってみたりする。スマホを覗いてふふっとほほ笑んでみたり、「こないのかな…」と現れない恋人をひたすら待ち続けるという健気な女性を装う。時計を何度も確認し、電話をかけてもつながらない焦りで目を潤ませ、悲しげな顔でとぼとぼと去る。どう?この寂しげな去り際。今日は80点くらい?と自己評価、もっと壁によりかかって俯く時間をのばしたほうがよかったかな…などと反省してみたりする。

 こんなことをしたからといって恋人ができたり、お母さんになれたりするわけではないけれど、そんなことおかまいなしに結構楽しい。他の自分になりきってあそびたい気持ちって変身願望と似ているのか…。女装が趣味な「男の娘」が流行って久しいけれど、なんか気持ちわかる。自分じゃない誰かになったときって、面白いよね。気づかないうちに勝手に自分で自分を「こんな人間」って枠にはめているからなのかな。

 ちなみにふたつ買った照り焼きバーガーは家でふたつとも自分で食べる。お金も太るリスクもかかった高尚な遊びなのだ。うん。
 

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

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