湯河原の旅・第二弾

 二月三日の湯河原の旅。東京から湯河原まで約一時間半。今回は林芙美子研究プロジェクトチームの山下聖美さんと、山下さんの本「宮沢賢治」に挿画60枚を描いて、イラストライター「のろのろ太」としてデビューすることになった藤野智士くんとの3人旅。車内では中村文昭氏とのドストエフスキーをめぐっての対談「ネジ式対談ドストエフスキー」の校正。四時間ほどの対談であったが、校正にはその何倍もの時間を要する。何しろ四百字詰め原稿用紙に換算すると250枚にもなる。これは三月に刊行する「江古田文学」に掲載される。
 湯河原駅に着いたのはお昼。駅前でリゾートマンション販売営業マンに声をかけられ、少し話す。彼においしいと評判のうどんや「うさぎや」を紹介される。店を出ると、店に隣接した喫煙所にいた営業マン氏に再会。雑談していると、彼は江古田に住んでいたということで親しくなる。彼は「株式会社タカラレーベン」第2営業部に勤める鳥海弘一さん。 
 海に向かってたらたら散歩。この日は日差しも柔らかく散歩日和。マックでコーヒーの後、再び駅へと向かう。途中、歌手の五月みどりさんが経営するお店をのぞくと、そこにご本人がいらした。なにを隠そう、わたしは五月みどりさんのファンなのです。さっそく店に入って「ファンです」と挨拶して握手してきました。近頃、テレビで見ていないと思ったのだが、今度新曲がでたということであった。あまりの美しさにめまいがおきそうであった。
 駅からバスで五所神社へ。節分の豆まきに参加。タクシーで温泉旅館「加満田」へ。着いたのは午後三時。小林秀雄がいつも宿泊していたという部屋に案内される。小林秀雄関係の本が揃えられていた部屋で女将に取材。その後で庭園を散歩、温泉につかる。部屋に戻って校正。六時から二時間ほどかけて食事。八時四十五分タクシーで駅へ向かう。駅前の柱に貼られていた五月みどりさんのポスターと記念撮影などして、九時四分、湯河原駅から東京へ。

湯河原駅ホームにて。藤野智士くんと。


三人で「丸天うどん」を食べました。

鳥海弘一さんと記念撮影。


樹齢八百年の楠。威風堂々。まさに神樹の風格。

五所神社の節分儀式。

温泉旅館「加満田」へ到着。

小林秀雄が宿泊した部屋の入り口

まずは部屋で寛ぐ。

小林秀雄関係の本が展示された部屋。

林芙美子特集の「江古田文学」も置いてありました。

静かで美しい庭園を散歩。文人墨客に愛された旅館であることをしみじみ納得。



「加満田」のご主人が小林秀雄逝去の際の新聞記事をスクラップしたものを見せて戴いた。


食事までの間、「ネジ式対談ドストエフスキー」の校正。

一枚描くのに三時間をかけたという、力作挿画を手にする藤野くん。山下著の「宮沢賢治」は近々刊行の予定。二冊本のテキスト用著作。

待ちにまった食事の時間。生ビールが特別おいしかった。

女将と記念撮影。余裕があればこういう場所で原稿書きたい。とにかく静か。

芸術新潮」で紹介された「加満田」と文人たちの関係記事。


小林秀雄が愛した部屋にいること自体に不思議な感覚を覚える。二十歳のころ、わたしが最も真剣に立ち向かったのが、小林秀雄ドストエフスキー論であった。その部屋で、対談ドストエフスキーの校正をしたというのも何かの縁か。

食事の後のコーヒーは実にうまかった。

五月みどりさんが経営するお店。


五月みどりさんと記念撮影。