小林リズムの紙のむだづかい(連載3)

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紙のむだづかい(連載3)
小林リズム


◆恋人の愚痴
 


「彼氏が自分勝手でさー」というエピソードを延々と話すので「そんな人と別れちゃいなよ」と答えたら地雷だった、という経験がある。
「いや、でも結構優しかったりもするんだよね」「まあでも、愛されてはいるんだよね」
 一瞬止まったあとにくるノロケのようなフォローのような切り替えし。え?あなたさっきまで彼氏の頭が臭いとか言ってなかった?同僚の女の子に対するでれっとした態度が気に食わないとか言ってなかった?と突っ込みたくなるあの感じ。
 お母さんが言っていた「自分の夫のことをあたしが馬鹿にするのはいいけど、人からは馬鹿にされたくないのよね」というのはまさしくこれなんだなぁと思った。確かに家族の話のネタをおもしろおかしく披露したときに「うわ、あんたのお母さんって最悪だね」とか「あんたの弟キモいんだけど」といわれたら必死に弁明してしまいそうだ。
「いや、でも実はこういうところもあって…」という事実を十割増しにした良いエピソードだとか、架空の話なんかをでっちあげたりして。
 なんなんだろう、あの感覚は。愚痴は言いたい、だけど言っていいのは自分だけ、という特権や優越感? 彼氏や家族、内輪の愚痴というものには詰まるところ愛があるということなんだろうか。たぶん、彼氏や夫など身内は、自分と同じ「仲間」だという認識があるのだ。仲間であり、味方でもある存在。そんな同じ場所に所属する掛け替えのない存在にもかかわらず「わかってくれない」「求めていることを返してくれない」と不満を感じる故の愚痴なのだ。聞かされている側からしてみたら、厄介な話である。
 とは言え、ガールズトークはほとんどが愚痴とか恋愛話だとか自虐だとかネタだとかを披露しあう場なので、地雷を踏むことなんてないようにしたい。「身内の愚痴」に対する模範解答のリアクションは、同情と共感。
「彼氏の体臭が最近ひどくてさー」というコメントに対して「うわ、やばいね。絶対別れたほうがいいよソレ」などと返答してはいけない。同情して「えー、どんな匂い?」と話を広げていくか、「わかるわかる、うちなんてこの間枕の匂いかいだら生ゴミみたいな匂いして…」と共感するかのどちらかが無難なのだ。