随想 空即空(連載66)内村鑑三の再臨説を巡って#ドストエフスキー&清水正ブログ# 清水正

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随想 空即空(連載66)内村鑑三の再臨説を巡って#ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

 正宗白鳥は「田舎の老伝道師などに、自分の子供が死んだのを、文字通り、神に召されたと信じて、悲しみもしないものがある」と書いているが、はたしてそんな親がいるのだろうか。「神に召されたと信じて」まではいいとして、「悲しみもしないものがある」というのはどうか。悲しみもしないように見える悲しみ、苦しみがあるのであって、白鳥の「悲しみもしないものがある」という言い方には抵抗を覚える。続いて白鳥は「非人情のようだが、そこまで徹してこそ信心甲斐があるのである。それに比べると、内村の復活観を読むと、感傷的で詩人的で、強いて夢を語っているらしく思われ、田舎伝道師などに比べると、所信が危かしく思われないこともない」と書いている。我が子を神に召されて「悲しみもしない」田舎伝道師の〈信心甲斐〉を評価して、鑑三の復活観を〈感傷的で、詩人的〉と評して所信の危うさを指摘している。

 わたしは〈悲しみもしない〉田舎伝道師よりも、強いて夢を語る鑑三の危うさに心打たれる。白鳥に子供はなく、従ってその死に立ち会ったことはない。世の中には我が子を虐待し、死に追いやる親もある。我が身かわいさに子を売ってまで故国に逃げ帰った親もいる。わたしはかつてグリム童話ヘンゼルとグレーテル』を批評したことがあるが、この表層的には子捨ての物語がその深層に子殺し、子喰いの恐るべきドラマを隠していた。だから、今更、親だからといって我が子を無条件に愛しているなどとは思わないが、それでも我が子に先立たれた親の果てしない苦しみと悲しみは、同じ体験を持たない者にはついに理解されないことだと思う。白鳥は鑑三の文章に滲む感傷的で詩人的なニュアンスを読みとるが、その表現に込められた悲しみを共有してうち震えることはできない。鑑三の魂の震えに、常識に立つ白鳥の魂が共振せず、ここに発せられた言葉はクールでイロニーを含むものと化している。

 正宗白鳥は「愛兒に早く死なれた者なぞは、来世に於て、復活している彼に会いたくてたまらないだろう」(376)と書いている。無難な想像である。この白鳥の言葉はわたしの胸に響いてこない。わたしはキリスト教信徒ではないから、〈来世〉〈復活〉をその教義上から考えることはない。わたしは我が子の〈復活〉を何度も考えたが、復活の時の〈肉体〉を具体的に思い浮かべることはできなかった。〈肉体〉と一言で言っても、何歳の時の肉体なのか、それは裸体なのか、それとも衣装のようなものを纏っているのか。現実に生きていた時の肉体存在とは関係なく、出会えば一瞬にしてその存在を確定できるものなのか。いろいろと思いを巡らしてはみたが、わたしの心を鷲掴みにする思念に打たれることはなかった。別に来世などを持ち出さなくても、我が子は思い出の中に住んでいて、いつでも思い起こすことができる。来世ではなく、現に生きている今生において生者は死者と共にあることができる。わたしはそれ以上のことは求めない。死を内包した生という観念に生きる者にとって、来世での復活は幻想であり、残された者の切ない願望でしかない。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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