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清水正

 

内村鑑三の〈つもり〉

 正宗白鳥の『内村鑑三』は詳細に検証する価値を持った評論であるが、今これをテキストに沿って緻密に批評することはしない。特に気になった箇所を引用し私見を述べたいと思う。

 

 ようやく十七歳くらいであった私が、「愛するものの失せし時」とか、「国人に捨てられし時」とかいう題目の下に書かれた感想文を愛読したのは不思議である。その頃の私に、そんな悲しい経験は兎の毛ほどもある筈はなかった。人生の不安を感じていたにしても、内村の「救安録」にあるが如く、六ケしく不安の追求をし、安心の境地を捜索していた筈はなかった。あの頃の私はそんなにませていたのかと、今不思議に思っている。それ等の文章は感傷的の述懐であって、作者自身それによって徹底的に慰められたり、安心を得たりしていたのではなかったのではないか。慰められたつもり、安心を得たつもりであっただけのように、私には思われる。我執の人、内村鑑三は最後までそうではなかったのか。(350)

 

 ここに引用した箇所でわたしが注目したのは〈つもり〉である。白鳥は内村鑑三の講演や著作に心酔したと言っても、一義的に単純に受け止める訳には行かない。白鳥は洗礼を受けたからと言って、全面的に、全身全霊をもってキリスト教の神に帰依したと見ることはできない。白鳥は洗礼を受けてまで解決できない懐疑を潜めていたと見るほうが納得がいく。

    白鳥は七十歳になってまで鑑三の信仰に疑念を抱いている。「慰められたつもり、安心を得たつもりであっただけのように、私には思われる」さりげなく書かれているだけに恐ろしい。鑑三の絶対に思える〈信仰〉を白鳥はあっさりと〈つもり〉で片づけている。しかもだめ押しするかのように「我執の人、内村鑑三は最後までそうではなかったのか」と書いている。一見つつましやかな鑑三に対する〈懐疑〉の表明だが、この〈つもり〉という〈懐疑〉を棄教して半世紀もたった白鳥が呟くように書いているのが恐ろしい。

 白鳥は鑑三の〈信仰〉に根深い懐疑を抱き続けてきたことはここに引用した箇所だけでも明白だが、この〈懐疑〉は白鳥自身の懐疑でもあったことを看過してはならないだろう。講演にしろ、書かれた文章にしろ、異様な熱狂は、その熱狂のうちに口に出された、言葉に出されたことと反対の奥深く押し隠された〈声〉を潜めている。白鳥はこの鑑三自身にすら明晰に認識できなかった〈秘中の秘〉を嗅ぎつけている。

 

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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