随想 空即空(連載13) 清水正
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清水正・画
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有即無 無即有 有無即空 空即空 空空空 正空 (清水空雲)
随想 空即空(連載13)
先日、正宗白鳥の本を探しに自宅の書斎を久しぶりに訪れる。倉庫状態で探し出せず、ほかの本を十冊ばかりマンションの仕事場に持ち帰る。途中、自宅前の公園のベンチに腰掛け、日向ぼっこをしながら岩波文庫『ルバイヤート』(オマル・ハイヤーム作・小川亮作訳)を読む。奥付を見ると初版は昭和二十四年一月とある。わたしはこの年の二月に生まれている。何十年かぶりに読み返すが、初めて読んだ時の静かな感動が蘇ってきた。
「もともと無理やりつれ出された世界なんだ、/生きてなやみのほか得るところ何があったか?/今は、何のために来り住みそして去るのやら/わかりもしないで、しぶしぶ世を去るのだ!」
「創世の神秘は君もわれも知らない。/その謎は君やわれには解けない。/何を言い合おうと幕の外のこと、/その幕がおりたらわれらは形もない。」
「いつまで一生をうぬぼれておれよう、/有る無しの論議になどふけっておれよう?/酒をのめ、こう悲しみの多い人生は/眠るか酔うかしてすごしたがよかろう!」などは忘れられない強烈な詩である。
究極の覚りの境地にたって絶望した者の人生賛歌である。酒と女に、残されたつかの間の生を燃焼し尽くそうという生の賛歌は、自棄くその叫びであり、気怠い諦念のつぶやきでもある。学問も芸術も、そして宗教も、畢竟、人間の生死に関して満足のいく解答を導き出すことはできない。分かったような分からないような理屈をいくらこね回してみても、遂に納得のいく解答を見いだすことはできない。その納得のいかない解答を胸に抱いて、女の膝を枕に、酒に酔いしれるのもいいだろう。
岩波文庫『内村鑑三所感集』(鈴木俊郎編)の中に「信ずるは疑うよりも良し、しかれども疑わずして深く信ずるあたわず、懐疑は信仰のために必要なり。建つるは壊(こぼ)つよりも良し、しかれども壊たずして堅く建つるあたわず、破壊は建設のために必要なり。されば恐れずして疑わんかな、大胆に壊たんかな、しかして深遠に信じ、永久に築かんかな」(281~282)とある。
『ルバイヤート』の中に「いつまで水の上に瓦を積んでおれようや!/仏教徒や拝火教徒の説にはもう飽きはてた。またの世に地獄があるなどと言うのは誰か?/誰か地獄から帰って来たとでも言うのか?」(15)とある。オマル・ハイヤームの懐疑は信仰を深めるためにあったのではなく、信仰そのものを無化している。内村鑑三の場合、信仰そのものを破壊する、あるいは無化してしまう懐疑はなかったのであろうか。
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「清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。
令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ
発行日 2021年12月3日
発行人 坂下将人 編集人 田嶋俊慶
発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
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