随想 空即空(連載11) 清水正
清水正の著作、レポートなどの問い合わせ、「Д文学通信」掲載記事・論文に関する感想などあればわたし宛のメール shimizumasashi20@gmail.com にお送りください
大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。
お勧め動画・ドストエフスキー『罪と罰』における死と復活のドラマ https://www.youtube.com/watch?v=MlzGm9Ikmzk&t=187s
清水正の著作購読希望者は下記をクリックしてください。
https://auctions.yahoo.co.jp/seller/msxyh0208
清水正・画
大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。
有即無 無即有 有無即空 空即空 空空空 正空 (清水空雲)
随想 空即空(連載11)
わたしが今回改めて考えてみたいのは〈霊において貧しき者〉のことである。〈貧しき者〉を〈渇える者〉と捉えると理解しやすい。霊が満たされている者、即ち心が渇えていない者は敢えて神に救いを求めることはないだろう。ドストエフスキーは信仰を渇望する者のことを〈枯れかかった葉〉に例えた。十分に太陽の光と水を吸い上げることのできる植物の葉は、それ以上のものを求める必要はない。霊が充足せずに欠けていれば、その欠けた領域を是非とも満たさなければならない。マタイ福音書5章3節「心の貧しい人々は、幸いである。天の国はその人たちのものである」をロシア語で見ると〔Блаженны нищие духом, ибо их есть Царство Небесное.〕とある。〈心〉と訳されている〈дух〉には精神、霊魂、魔、呼吸、空気、噂、幽霊……など様々な意味があるが、ここでは宗教的な意味で〈святой дух=聖霊、天使〉と〈злой(нечистый)дух=悪魔〉に注目したい。
〈心の貧しい〉と日本語に訳されると理解しにくいが、〈нищий〉は〈極貧〉〈赤貧〉を意味する。単なる貧しさだったら自力に頼ってそこから脱出できるかも知れないが、極貧・赤貧ともなればまさに〈霊〉が絶対的なものに〈渇望〉するほかないということになる。問題は〈霊〉が渇望した時に〈聖霊、天使=святой дух〉のみが反応するのではないということである。そこには当然のこととして〈злой(нечистый)дух=悪魔〉も反応する。荒れ野での断食修行のイエスに訪れた〈悪魔〉がそれである。
わたしは〈霊〉が〈聖霊・天使〉と〈悪魔〉を内包していることに注意を向けたい。『創世記』では全能の神がアダムとエヴァを命令し試み、ヘビが具体的な誘惑を担当している。『ヨブ記』においては神と悪魔が相談の上で、ヨブを試みている。旧約聖書において神と悪魔は謂わば対等の力を持って、それぞれの役割を全うしているように見える。荒れ野でのイエスは悪魔の誘惑を退け、石をパンに変えるなどの奇跡を拒んだ。が、そのイエスは死んで四日も経ったラザロを「出よ、ラザオ」の一言で蘇生させている。ある時は奇跡を拒み、ある時は頼まれもしないのに奇跡を起こしている。このイエスの恣意的行為をどのように理解すればいいのか。
大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。
大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。
エデンの南 清水正コーナー
動画「清水正チャンネル」https://www.youtube.com/results?search_query=%E6%B8%85%E6%B0%B4%E6%AD%A3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB
お勧め動画・ドストエフスキー『罪と罰』における死と復活のドラマ https://www.youtube.com/watch?v=MlzGm9Ikmzk&t=187s
清水正の著作購読希望者は下記をクリックしてください。
https://auctions.yahoo.co.jp/seller/msxyh0208
お勧め動画・池田大作氏の「人間革命」をとりあげ、ドストエフスキーの文学、ニーチェの永劫回帰・アポロン対ディオニュソス、ベルグソンの時間論などを踏まえながら
人間のあるべき姿を検証する。人道主義(ヒューマニズム)と宗教の問題。対話によって世界平和の実現とその維持は可能なのか。人道主義と一神教的絶対主義は握手することが可能なのか。三回に分けて発信していますがぜひ最後までご覧ください。
大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。
「清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。
令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ
発行日 2021年12月3日
発行人 坂下将人 編集人 田嶋俊慶
発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。