小林リズムの紙のむだづかい(連載305)

小林リズムの紙のむだづかい(連載305)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい(連載305)
小林リズム
  【ふらふら記】

  1月×日 ○曜日

 わけあって、中指と薬指に刺青をいれている男性と話すことがあった。どうやって関わったらいいのかわからずに、迷った挙句彼に「ちょっと福くんに似てますね」と適当なことを言うと「…あん?」と睨まれたから非常に困った。「あの、福くんて、子役の…。心根が純粋そうな感じが福くんに似てますよね…」と慌てて取り繕っても時すでに遅し。すっかり怒らせてしまったのだった。
 初対面の人との距離の縮め方ってとても難しい。近すぎてもいけないし、遠すぎても他人行儀になってしまってちっとも打ち解けられない。特に仕事で偉いポジションにいながらもコンプレックスを抱えている人は、自分を強くて不良で悪だと思い込みたがる節がある。「俺、昔悪かったんだよね〜」は自慢話の助長。「歩くとみんなが避けていく」「知らない人に頭をさげられる」「ヤ○ザに間違えられる」は彼らのなかではステータスらしい。バカみたい…と思ってしまう私は…はい、そうです。そういう人たちとコミュニケーションをとるのが苦手。

 相手の望むリアクションをしようと試みると、自意識過剰になり自分のことでいっぱいいっぱいになってしまう。イマドキ、可愛い女に見られようと「適当に笑っておく」「無難に共感・同情しておく」はウケる要素ではないのだ。ツマンナイし、タイクツだし、ウソっぽい。それだったら多少失言であっても素直に本音をもらすほうが可愛げがあっていいらしい。相手の望むことに応えようと愛想笑いと同調しかできなかった私が、相手の望む言葉が他ならぬ「私の本音」なのだということに気付いたとき、愕然とした。初対面かつこれから親しくなる予定のない人に本音なんてそう簡単に言えるワケがない。できることなら、自分を理解してくれる人、そして自分が理解できる人たちだけに囲まれて、朗らかに穏やかに傷つくこともなく暮らしていきたい。もちろん現実がそんなことを許すはずもなく、私はこうやって指に入れ墨をいれたスキンヘッドの強面の人を前に戸惑っている。あまりにも気まずいムードに、逃げ場のない焦り…。仕方がないので、私は一方的に自分のことをぽつりぽつりと話したのだった。

 ネタになるのは就職即辞めエピソード。そこからの占い師バイトネタ。人の不幸は蜜の味…とはいうけれど、ホントにそうなのだと思う。あんなに不機嫌だった強面のオジサンも次第に興味を持ちながら乗ってくれて、私はこれまでの実りのない自分の出来事の数々が無駄じゃないように思えて嬉しかった。最終的には「吉田類の酒場放浪記って知ってる?そういうのの女バージョンを書けば面白いんじゃない?」という提案までしてもらうとこまで行きついた。(ていうか検索したらあるじゃん、女版酒場放浪記…)
 人とのコミュニケーションなんてまったくもってニガテだし、面倒だし、話したくないときも山ほどあるけれど、それでもどうせ関わるのなら面白くいたい。合わないと感じる人のすべてを受け入れることや自分のすべてを晒すことは不可能だけれど、それでも「わかりたい」「わかってほしい」と思うことから始まる気もする。嘘や偽りでかためた自分を演出するよりも、少しばかりイタい女になったほうが相手も心を開きやすいのかもしれない。
 

 
 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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