小林リズムの紙のむだづかい(連載18)

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紙のむだづかい(連載18)


小林リズム

◆女の子にしかわからないこと

 恋愛の心理においても男女の違い、というテーマでよくコラムが書かれていたりしていて、そのたびに「面白いなぁ」と思う。男女は身体も心も違う、だから当たり前のように「女の子にしかわからないこと」っていうのがある。その一番の例が、生理痛だ。お腹の下がどーんと重くなり、内側に鉛がたまっていくような鈍痛。だるいうえに血がモレないかとか余計な心配まで必要でやりきれない。「生理痛」表現すればライトな感じがするけれど、実際のところライトさはみじんも感じられず、もっとモヤッとかドドッとしている感覚だ。
 けれど「生理痛で、おなかが痛くて…ロキソニン持ってる?」という女子の間で行われるやりとりは、女の子だけの連帯感みたいなものが感じられて少し楽しい。「生理用のナプキンは羽つきがいい!」「えー、羽って必要なくない?」「ないとズレるじゃん!」なんていう他愛もない話とか「旅行のとき生理かぶりそうなんだよね」「意識してると本当にその日に生理になるっていうよ」っていう女として生まれた故のちょっとした面倒くささの共有。なかでも一番胸に打たれたのが、ほんわかと可愛らしい言動が魅力の友人、モンちゃんの言葉だ。
「今日生理で…なんていうか、股が引っ張られる感じがして痛い…」
彼女が切なげな表情でそう呟いたとき、こんなに的確な表現はこれ以上にない、と感動してしまった。確かに生理痛はお腹が痛くてだるい。しかしそれと同じくらい、あるいはそれ以上に、立ちっぱなしでいると股が引力に逆らえないとアピールし始めることのほうがツラい。股全体がものすごい力で地面に引っ張られてしゃがみたくなるし、横になりたくなる。それなのに憮然とした態度で立っていないといけないこととか、「股が引っ張られて苦しいです」と気軽には言えない乙女心とか、そういうものすべてを包括して、「やっぱ女ってスゴイわ」と思った。そんなスゴイことをひた隠しにして、「モテ」だとか「愛され」だとか「幸せ」を求めるのって、ゆるふわウェーブとかまつ毛エクステとか脱毛を使ってカワイイを維持するのって、なんて努力家なんだろう。
生理ってツラいし、面倒だし、女って本当ソンだな、と思うときもある。しかしそうやって女をやっている自分も、今日は生理じゃありませんみたいな顔をして苦しみに耐えることも込みで、案外好きだったりするのだ。