小林リズムの紙のむだづかい(連載13)

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画・кёко

紙のむだづかい(連載13)
小林リズム

◆生理の味方〜父とナプキン〜

 もしセンター試験で「生理用ナプキンの役割はなんですか」という問題が出されたら、なんと答えるのが正解なのだろうか。股から流れてくる血を漏らさないようにするためっていうのが模範解答なんだろうか。確かにナプキンには、血を吸収するという重要な任務が与えられている。だったらもっと、他の方法でも活用できるんじゃないかって?そう思ったのが私のおばあちゃんだった。
 私の父がまだ十代の頃。荷物を二階に運ぶ作業をしていた祖父が足を踏み外し、一階にエアコンを落としてしまったことがあったらしい。エアコンは一階にいた父の顔面に直撃したのだという。おでこから血が流れ、父の意識は朦朧とし、一家は大混乱したそうだ。薄れゆく意識のなかで父が目にしたのは、祖母の必死な表情だった。祖母が手にしていたのは生理用ナプキン。パニックになった祖母はナプキンを父のおでこに貼り付けたのだった。それが、父と生理用ナプキンのはじめての出会いだったという。
 なるほど、確かにナプキンは血を吸収してくれる。でもこの場合って止血したほうが的確なんじゃ…。何はともあれ、それから数十年後に父はまたナプキンと再開することになる。
 母が父の鞄に入れておいたポケットティッシュに生理用ナプキンがはさまっていたのだ。会社でお菓子を食べ、汚れた手を拭こうとしてポケットティッシュを取り出した父はその懐かしい生理用品との再会に某然としたという。もともと女顔でおばあさんにも間違えられたことのある父。会社で変な趣味があるという噂が立たなければいいと娘は願う。