小林リズムの紙のむだづかい(連載104)

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紙のむだづかい(連載104)
小林リズム

【こじらせギャップ】

「あたし、女捨ててるからさぁ」
という言葉を発する、自称サバサバ女子。「えー、あたしサバサバしてて男っぽいから〜(=裏表がなくてさっぱりしてるあたしどう?女っぽくねちねちしていないわよ、ねぇ、いいでしょう?という意味)」。充分にドロドロした感情がうずまいているにも関わらず、「ぶりっこが似合う可愛い子はいいなぁ(=あたしはそんなにあざとくないわ)」と失笑する。私も例にもれずこちらのタイプだったのだけれど、そんな自称サバサバ女子が最近猛烈に批判をあびているじゃないですか。
「単に思いやりがない」「女性らしい気遣いを放棄」「面倒くさがって何もやらないだけ」と、それはもう辛辣な言葉の数々。見ていて心が痛いです、悲鳴あげてます。

 それにしても、なんでサバサバ女になってしまったのか。これはもう間違いなく「可愛い女の子には敵わない!」とひれ伏す思いと、「この子たちみたいに女を武器にしていないから!」というちょっとした優越感、さらには「サバサバと言いつつホントは女の子らしいところも…」というギャップを狙っているから。可愛らしい子が女の子っぽいことをするより、さっぱりした子のふいに見せる女らしさのほうが、レア感があって格があがるのでは…という計算も含まれている。
「強がっているけれど、本当は寂しがりや…」
とか
「ひとりが好きだけど、かまってほしいときもあるの…」
というアピールと同じで、それを厳重に梱包しているあたりが、さらにややこしい。はじめから「サバサバしているからさぁ」と敷居を思い切りさげておいて、期待されないための予防線をはりめぐらせる。そこをかいくぐってきてほしい人にチラつかせる、ほんの少しの女の子エキス。ふわっとしたシャンプーの香りとか、実は毎日お弁当とか、部屋は綺麗にしてあるとか、日常生活の随所に仕掛けてあるギャップトラップ。部屋は綺麗にしてあるというアピールも堂々と部屋を公開するのではなくて、「もらったプレゼントを写真に撮ってアップ」という体でちょろっと部屋を写したりするのだ。こうなってくるともう何があざとくて何がそうでないのかよくわからない。

 自称サバサバ女を、そんなにいじめないでほしいと思う。彼女たちはサバサバになりたいけれど、ねっとりどろどろしている感情をまぎれもなく持っていて、でもそのことに本人もうすうす気づいているのだ。キラキラ女子に負けているという敗北感と、歪んだ優越感、そして女子や恋愛に対する劣等感がごちゃまぜになって「女捨ててるから」という言葉でしか自分を表せない。けれど、わかってほしい、本当の「女」の自分を見てほしい、とも思っている。でもそんなこと言えないから、ほら、今日も「あたしサバサバしてるからさぁ」という地味なアピールでしか自分を伝えられないのだった。



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