小林リズムの紙のむだづかい(連載12)

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日芸女子腕相撲大会
紙のむだづかい(連載12)
小林リズム

◆生理の味方〜高校生〜


 「小林さん、なんかスカートが…」
 朝のホームルームの朝礼で立ち上がったときに、後ろの席に座っている男の子に注意された。もしかしてめくれてる?いや、違う。指を差された場所を見てみると、確かに白いシフォン素材の春物スカートの先が赤く汚れていたのだった。言い出した男の子も途中で気づいたのだと思う。気まずそうに黙ってしまった。
 そういえば、昨晩から今月の生理がはじまったのだった。羽つき用のナプキンが曲がったりぴったりとフィットしなくて好きになれない私は、羽なしのものを使っていて、そうするとズレてしまうことがあるのだ。
「あ…今日…朝ご飯オムライスだった!ケチャップこぼしちゃったんだ…!」
と、相当無理のある方向にもっていき、私はトイレへかけこんだ。どんなふうにオムライスを食べればスカートのお尻の下の部分が赤くなるのか。自分で自分に突っ込みながら、私はズレたナプキンを引っ剥がして新たなものをくっつけた。
 スカートを履いていてパンツに裾が巻き込まれたり、トイレットペーパーがはさまったりすることは稀にあるけれど、学校での生理の失敗ほど落ち込むことはない。ベリベリと剥がしてパンツに貼り付けて、汚れたものをくるくる巻いて三角コーナーへ入れて…このサイクルを人生でどれくらい繰り返すのだろう。長々と女の人生につきまとう毎月恒例の腰の重いイベント。お正月に嫁が嫌々ながらも旦那の実家へ赴くようなもの。男子なんてチャックを下ろすだけでふかなくても良いのに、女って本当に面倒だよなぁと思う。
 しかしガールズトークのなかで友人が「生理中って股が地面にひっぱられるみたいに痛くなるよね」と言ったりするとき。その表現があまりにも的確で笑ったのを思い出したとき。自分が女である楽しさをかみしめるのだった。女にしかわからない連帯感って絶対にあって、もしかしたらそれって結構楽しいことなのかもしれない。