国会図書館へ・林芙美子の作品研究のために

ここをクリックしてください エデンの南   清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室  
清水正の著作   D文学研究会発行本
十月四日は国会図書館へ行く。目的は林芙美子の『浮雲』が発表された「文学界」と、「屋久島紀行」が発表された「主婦之友」(昭和二十五年七月号)を見るため。「文学界」は当日コピーが可能だったが、「主婦之友」は痛みが激しく、後日のコピーとなった。しかし現物は見てメモを取ってきた。初出を見ることの大切さを改めて感じた。林芙美子における屋久島訪問に関しては、九月一日から三日にかけての取材活動と東京へ戻ってきてからの検証で、誤った情報が屋久島において流布していることが判明した。安房館に十日も滞在して、そこで『浮雲』を執筆したとか、安房館に来館したのが昭和二十四年とか、基本的な間違いが、きちんとした検証がなされぬままに放置されている。ここで詳しいことは書かないが、林芙美子安房館に一日しか泊まっていないし、来館したのは昭和二十五年の四月二十七日で、二十八日は田代旅館に泊まり、翌日の朝には宮之浦から出航している。営利目的で間違った情報を流すことは許されない。いずれ「林芙美子屋久島」に関しては一本をまとめるつもりで執筆をすすめている。
国会図書館から歩いて桜田門駅を通り過ぎ、霞ヶ関駅から日比谷線に乗り、広尾駅で降りる。目指すは焼き鳥が抜群にうまい「ことぶき」。まずは生ビールと焼き鳥。店で十年働いているという壽寿朗さんと話す。日芸出身のひとも働いているということで一気に親しみを感じる。広尾に来たら「ことぶき」、「ことぶき」にきたら「ことぶきとしお」。壽さんは自分で作った素敵なネックレスをしておりました。