近況報告 「文芸批評論」の内容
近況報告
大学の授業は依然として対面授業ではなく、わたしはクラスルームで受講生に指示を与える方式をとっている。今回は「文芸批評論」の内容を紹介する。
10月8日清水正記
先週書いたものが消えています。うまく送信できていなかったのかもしれません。
林芙美子の『浮雲』をわたしはたいへん高く評価しています。図書館長時代には二冊の林芙美子の本を監修しました。『林芙美子の芸術』2011年11月と『世界の中の林芙美子』2013年12月の二冊です。林芙美子は外国文学をたくさん読んでいますが、ロシア文学ではチェーホフやドストエフスキーの作品をよく読んでいます。日本の近代現代の詩人、小説家、批評家に深く影響を与えた作家にドストエフスキーがいます。林芙美子の師匠格にあたる川端康成もその一人です。川端にまとまったドストエフスキー論の著作はありませんが、彼が三島由紀夫をはじめとして後輩の作家たちにドストエフスキーを熱心に語っていたことが伝えられています。
ドストエフスキーの作品の中でも特に『悪霊』は葛西善蔵、横光利一、坂口安吾、椎名麟三などに大きな影響を与えています。ところでわたしは、『悪霊』の主人公ニコライ・スタヴローギンを和製化した人物が『浮雲』の主人公富岡兼吾とみなしています。林芙美子の『浮雲』を本格的に研究したいひとはぜひ『悪霊』にも挑戦してください。
わたしは林芙美子に関しては『林芙美子と屋久島』、『「浮雲」放浪記』全五冊、『林芙美子の文学 「浮雲」の世界』全二冊、『林芙美子「浮雲」における死と復活の秘儀』などを刊行しています。これらの著書は林芙美子の『浮雲』をドストエフスキーの文学に関連付けて批評したもので約十年の歳月を要しました。まだまだ林芙美子の文学は本格的に研究批評されているとは言えません。わたしは『浮雲』を世界文学の地平において批評しましたが、その世界が広く理解されるには相当の年月が必要とされるでしょう。
とりあえず受講者はじっくりゆっくり『浮雲』を熟読してください。課題は11月に入ってから指示します。
清水正への講演依頼、清水正の著作の購読申込、課題レポートなどは下記のメールにご連絡ください。
shimizumasashi20@gmail.com
https://auctions.yahoo.co.jp/seller/msxyh0208
ドストエフスキー文学に関心のあるひとはぜひご覧ください。
「清水正先生大勤労感謝祭」の記念講演会の録画です。
https://www.youtube.com/watch?v=_a6TPEBWvmw&t=1s
「池田大作の『人間革命』を語る──ドストエフスキー文学との関連において──」
動画「清水正チャンネル」で観ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=bKlpsJTBPhc
清水正の著作はアマゾンまたはヤフオクで購読してください。https://auctions.yahoo.co.jp/seller/msxyh0208
(人気ブログランキングに参加しています。よろしければクリックお願いします)
これを観ると清水正のドストエフスキー論の神髄の一端がうかがえます。日芸文芸学科の専門科目「文芸批評論」の平成二十七年度の授業より録画したものです。是非ごらんください。
ドストエフスキー『罪と罰』における死と復活のドラマ(2015/11/17)【清水正チャンネル】 - YouTube