「雑誌研究」第三回講義は林芙美子の『浮雲』からトルストイの『アンナ・カレーニナ』へ

清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室   清水正の著作

〈林芙美子〉を探す旅 旅館巡りから竹久夢二記念館へ 
五月七日の「雑誌研究」第三回目の講義は、林芙美子の『浮雲』における富岡兼吾と幸田ゆき子の性愛的関係から始めて、伊香保研究旅行での偶然で必然の出会いを語った後、トルストイの『アンナ・カレーニナ』のごく最初の場面について語る。現代の大半の学生はこのあまりにも有名な作品の作者を知らず、ましてや林芙美子の『浮雲』を読んでいる者はいない。そういった状況の中で、偉大な作品のその〈偉大さ〉のなんたるかを伝えていくこともまたわたしの使命と考えている。

伊香保にある徳富蘆花記念文学館に触れたとき、蘆花とトルストイの関係についても少し話した。今年はトルストイ没後百年であるが、蘆花はトルストイの心酔者としても知られる。蘆花がトルストイの生地ヤースナヤ・ポリャーナを訪ねたのは明治三十九年六月三十日、彼が三十八歳のときであった(因みにトルストイはその時七十九歳)。それまでトルストイを訪問した日本人に小西増太郎(1862‐1940 明治から昭和前期のロシア研究家,神学者で、トルストイとともに「老子」のロシア語訳を完成させた)、蘆花の兄・徳富蘇峰(1863 - 1957)、深井英五(1871 -1945第13代日本銀行総裁)がいる。

伊香保徳富蘆花記念文学館ではトルストイの没後百年を記念するような企画は何もなかったが、来年は「竹久夢二伊香保記念館」における「林芙美子特別展示」の企画を木暮館長と一緒にすすめている。この日は十二時半から二時過ぎまで研究室を訪れた木暮館長と林芙美子竹久夢二について熱く語っていたこともあり、授業では四月29日から30日における「伊香保物語」(詳しくは五月一日と二日のブログを見てください) 〈林芙美子〉を探す旅 旅館巡りから竹久夢二記念館へ を語らないわけにはいかなかった。
林芙美子竹久夢二の共通性について語る「竹久夢二伊香保記念館」木暮享館長
清水正研究室にて(2010年5月7日午後一時過ぎ)

「雑誌研究」受講者の感想
確かに女は10割の愛を渡して8割が返ってきた時、残りの2割を許さない。でも男はどうなのか?そういう勘定をしないのか。それで女を愛している証拠をどこで発揮するのか。(文芸 角杏菜)


人間関係のドロドロさには、つくづくイヤになるです。ケド実際そこが秘かに面白いと思っています。女は100%中の0.01%を許さないとゆう話が一番共感できたし、興味深かったです!ありがとうございました!!(演劇 菊地大)


今日の授業で“放浪記”のお話が出て、林芙美子さんの放浪記の舞台のお話は、昔父が舞台に出演しいていたことがあり、小さい頃から聞いていて、とても興味があったので、すごく勉強になりました。早く、放浪記と、アンナ・カレーニナを読もうと思います。(映画 物部真実)


縁じゃないけれど、そういうものは私も心の底から大切だと思ったことがあります。これからもそういうことは大切にしていきたいです。ありがとうございました。(写真 徳増礼美)


浮雲」は読もう読もうと思って結局読んでいない小説だったので、今日の概要を聞いて、面白かったです。シンボリックな表現の仕方、の部分が気になるので、ぜひ、今度こそ読もうと思います!(映画 市川仁美)


私は実は高校時代に清水先生とお会いしたことが2回程あります。原先生のつながりで。原先生によく清水先生のお話を聞いていて授業をずっと受けたいと思っていて入学3年目にしてやっと受講できた清水先生の授業はとても面白かったです。浮雲、まずは映画をみてみようと思います。(放送 山岸晃華)


浮雲の話とてもすごかった。いろいろな人間関係があって、情熱のすごさを感じた。話しの中に出てきた竹久夢二の展示を今年ちょうど見にいっていて、なにげなく入ったけど、調べたりいろいろな観点でみると違うんだと思った。(デザイン 佐々木奈央)


白いクジャクの部分は私も聞いていて想像することができました。そして、流石です。と聞きながらだつぼうしました。来週楽しみにしています!(演劇 楢崎夏海)


伊香保での話、山下先生の授業でも聞いたのですが本当にドラマみたいな話ですね。浮雲も、放浪記も読んだことがなかったので、読むための良いきっかけとなりました。(文芸 内田すみれ)


女の100%の気持ちを男が99.9%でかえすと女は0.1%に激怒するというのは、なるほど!と思いました。(文芸 新見圭太)


僕は群馬県出身ですが、伊香保にそのような素晴らしい場所があった事を知りませんでした。実家に帰った時、是非行ってみたいです。(文芸 中村将基)


“美人”にはプライドがある為、引き際を心得ていると私は思います。ゆき子はあまり優れた容姿ではなかった故、プライドがなかったのでしょう。プライドがない女は狂気がとても似合うと思います。そんな話だな、と感じました。(文芸 飯田碧)


浮雲」のハナシが面白かった。昔の女性ってそんなに情熱的だったんですか?おカタイイメージだったので・・・意外でした。難しそうなので読めるかわかりませんが読んでみようと思います。(映画 浅海里奈)


伊香保温泉の金太夫の絵がとても気になったので、帰ったら調べようと思います。(文芸 井上美帆


トルストイ読みます。今日も引き込まれるまさに“一人演劇”を感じましたが、とても面白かったです。(文芸 小山剛史)