「マンガ論」第三回 林芙美子の『浮雲』からつげ義春の『チーコ』へ

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清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室   清水正の著作

〈林芙美子〉を探す旅 旅館巡りから竹久夢二記念館へ 
「マンガ論」第三回目(2010/5/10)は林芙美子の『浮雲』と伊香保研究旅行の話からつげ義春の『チーコ』の世界へと参入する。演劇学科の学生には、窓を開けていても外へ逃げていかないチーコを演じてもらった。




受講生の感想
最初は奥さんとお客さんの間に「少しだけ何かあった」と思っていました。襲われかけた、とか。でも奥さんが酔っぱらっているのにも関わらずコートで布団を被ったのを見て、男女の営み的なものがあったのかもしれないと感じました。女の人の嘘は放っておくのが吉です。(放送 江越美紀)


前半の『浮雲』のあらすじを聞いて、読んでみたくなりました。佐渡人形が今までどのコマにも出てこなかったのは(あんなに部屋をすみずみと描いているのに)次の展開を暗示するインパクトが大きくなるからかなと思いました。続きが気になります。(文芸 眞柄冬音)


“幸せの青い鳥”とまで表現させたチーコを最終的に殺してしまうから怖い。やっぱり幸せも一緒に朽ちてしまうのだろうか。あと、女の人・・・何かあったら帰ってこられないと思うんです。ので、どうしても何かあったと思えない。(文芸 篠崎早貴)


描かれていない部分に一コマだけでも入れることで、方向性が定まることがわかった。逆に、描かれていない部分が読者の想像をふくらませ、何通りもの出来事ができて、そこが深いと思った。(放送 宮川晃典)


チーコを演じた人の、鼻毛を抜いた後の表情がとても良かったです。(放送 羽佐間桃子)


演劇学科のチーコの役に大爆笑しました。彼女は将来大物になると思います。(文芸 内田悠介)


佐渡人形があることは全く気付かなかった。普通に読んでいるだけでは気が付かないところにも手が込んでいてさすがと思った。(演劇 新井俊一)


今まで林芙美子の作品を読んだことがなかったけど、これから『浮雲』に挑戦してみようかと思いました。先生の話を聞いてたらチーコはただのマンガじゃないように思えてきたから不思議です。あと鳥の演劇なかなかでした。(文芸 小林里純)


平和だったはずのものが一転してしまう描写が非常に巧妙だと思いました。黒のベタ塗りを何かの前兆として用いている点で、秀逸だなあと感じました。背景がどんどん薄暗くなっていく過程が不気味です。(文芸 亀本実世)


浮雲』読んでみたくなりました。この授業は、女の人、男の人の心理が深く考えられるので、おもしろいです。文鳥は女の人の心理なんですね。(放送 谷口朱里)


私は女は仕事場で何もなかったと思う。出勤する時の「スタスタ」が意味があるものならば、仕事で男とやましいことがあったら家に戻ってこないと思うから。今日は仕事がうまくいかなくてのみまくって本当は心配してほしかったけど怒られたからすねてるのかと・・・。文鳥と女の話は結構納得いく。今後の再構築が楽しみ。(演劇 鶴巻美加)


チーコの役を演じてくれた方がすばらしいと思いました! ただあれは、文鳥というよりもクジャクかダチョウかなって思います。(放送 中島範恵)


飛び立つ女と飛び立たない女の話が、なかなか興味深く聞きました。なるほど、確かにそういう女はいるなあとなんとなく納得してしまいました。だから、女心はわからない、という風に言われるのかもしれません。私自身はその時が来たときに、どういう行動をするのだろうと思いました。(今の私はきっと飛び立てないと思っていますが・・・)(演劇 丸山詩野)


浮雲』は二葉亭四迷のイメージしか無かったが、林芙美子の作品も非常に興味深いと思った。今度是非読んでみたいと思う。(放送 目崎光太)


深いです・・・なんの変哲もない背景にまで暗示があるなんて思いませんでした。たいしたことのないマンガだと思ったのに知れば知る程おもしろいです。(美術 清水香織


黒ぬりになっている佐渡人形が何かを暗示しているという指摘に、ハッとさせられました。こうやってマンガを読んでいけるということに感動しました。(文芸 北村哲士)


今日初めてこの授業を受けたが、さすが文芸の先生は、小説をめぐる旅の1つはしているものなのだなぁ、と感心した。マンガはもっぱらギャグマンガしか読まないので、『チーコ』は新鮮味があった。(美術 櫻井ゆきみ)


チーコは良い子だと思うけど、窓から外を見ている時「そっちの世界」にも行きたそうな顔をしていた。少しさみしそうだった。(文芸 澤田石円)


奥さんは本当にお酒を飲んで、何もせずに帰ってきたんだと思います。それなのに、男に責めるような言葉を浴びせられた事に腹が立ち、そんな男を捨てられない自分にも腹が立って、布団にこもったのではないかな、と思いました。(文芸 伊藤景)


浮雲』は読んだことがないので今度読んでみたいです。『チーコ』は最初読んだだけでも不思議なかんじがしました。色々と深い意味があって感心しました。(文芸 阿部桜)


浮雲』の話がおもしろかった。最後が気になります。マンガも、よめばよむほど奥がふかいな、とかんじました。(文芸 浅沼杏奈)


福原由加里のチーコがおもしろかったです(笑)(演劇 森島縁)


視点を変え、コマの隅々にまで目を通すことによって、単純に見えた内容がこうも変わるのかと、授業のたびに驚かされる。(文芸 入倉直幹)


最後の佐渡人形のくだりが好きです。見方が変わるとコマ全体の雰囲気も変わっておもしろい。(文芸 崎田麻菜美)


チーコと奥さんの対比は自分が思いもつかないことだったので、一つの作品でまだまだ発見があるのだと思うと楽しみになりました。(文芸 飯島辰典)


チーコと女の人をかぶせて考えてあるなんて、全く気づかなかった。人形もそう考えると不気味だし、意味ありげに思える。(演劇 松本好恵)