「マンガ論」はつげ義春の「海辺の叙景」

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本日の「マンガ論」はつげ義春の「海辺の叙景」をとりあげる。つげマンガにおけるオイディプス的野望とその挫折について触れる。先週に引き続きソポクレスの「オイディプス王」と、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の父殺しについて話した後、演劇学科演技コースの受講生の朗読演技を交えて講義をすすめる。なお次回は少しつげマンガを離れて、「となりのトトロ」をやることにする。





受講生の感想

女は怖いですね…。遺影にはゾッとしました。ダークな作品にはふしぎな魅力がありますね。
(映画 河合真子)

ドストエフスキーを読みたいと思った。文学とマンガを合わせると意外とおもしろいことに気づいた。
(文芸 小倉夏希)

今回の話で男が死んでいるのを知って驚きました。けれどそれを知ると、私が考えるに、女はもう死んでいて、更には男より早くに死んでいて、男を殺した後その魂を海辺に定着させようとしているのではと考えました。
(映画 三田理恵子)

作者が無意識に書いているという言葉に共感しました。私もよくやります。無意識に書いているということは本当に思っていることなんだろうなあ、と。
あと私も人に興味を持ってもらえるような批評ができるようになりたいです。
(文芸 西村夢音)

『海辺の叙景』を『カイヘンの女景』と読む説に驚き、遺影説には声も出ませんでした。作者自身が意図していない隠れた暗示を読み解くのは非常に面白い作業だと思いました。
(演劇 北嶋ミク)

深く読めば読む程、マンガの世界は偉大なんだ! と感じました。
ジブリが大好きなので、次の授業すごく楽しみにしています。やまみより
(演劇 山口麻未)

主人公の男が死んでいるときいた時はびっくりしすぎて何故か鳥はだが立ちました。そして先生の読みこみ具合が深すぎてそれにもびっくりでした。評論する仕事? のイメージが変わりました。
(デザイン 大畠純)

『海辺の叙景』の講義を聞いて先生が話すたび驚きました。あそこでサングラスを主人公が貸していたとはまったく思いませんでした。また新しい発見の連続が楽しかったです。
(デザイン 進川葉子)

コマとコマの間に書かれていない会話があるなんて思いもしなかったです。マンガって奥が深い!
男が遺影に見えるところすごくびっくりしました。
(演劇 三品優里子)

深い!! 遺影のところを先生が出してきた時、ゾワっとしました。もっとくわしく聞きたいと思いました。
(演劇 松本優美)

『海辺の叙景』は今日初めて読んだのですが、途中で隣の友人が「これ、死亡フラグだろ」と言っていたので、最後、実は男と女が死んで終わりかと思っていたら、その前に男が死んでいたというオチになっていたので、驚きました。
サングラス→タバコ→命という順に奪っていった女…。とても恐ろしいです。次回の宮崎駿の回が楽しみです。個人的にポニョは子供向けだなーと思いました。
(演劇 幸本直子)

遺影の話には鳥肌がたちました。前回までの話を聞いて注意深く見ていたつもりだったのですが…。女性も怖い人だなーくらいで、まさか「命もついでにもらっちゃうわ」な人だとは思いませんでした。
(文芸 廣中穂菜美)

「マンガ論」なのでマンガのお話しかされないかと思っていたのですが、ここ2時間ほどはロシア文学のお話もされていてとても興味深いです。演劇学科とは違う視点からの文学の講義、参考になります。
(演劇 芳尾まどか)

先生のように、自分でも深くまでマンガを読みこんでみましたが、やっぱり気付かない点ばかりで本当に驚きました。すごくたのしかったです!!
(演劇 平田栞)

『チーコ』に引きつづき、驚かされました。作者が無意識に、これらを織り込んで描いているのが、すごい。また、それを見いだす先生もすごい。
(演劇 山田沙央里)

先生が「男は死んでいる」と言ったときは「今回はそうきたかー!」と思って笑ってしまったけど、遺影に見えるというコマを見た時は思わず「本当だ! すごい!」と言ってしまいました。
「まさか」と思っていたことが先生のお話をきいているとどんどん裏付けられていって驚きます。楽しいです。
(演劇 冨士あゆ)

釣り上げられた魚=オイディプス的野望を持ってしまい罰せられる青年、という解釈が新鮮でした。作中の台詞で『死』を扱っているのが多かったので「この女の人はもしかしたら幽霊のような存在では…?」と思っていましたが、遺影ととれるあのコマが怖くて、とにかくびっくりしました。
(文芸 山田佑美)

生と死を考えるといつも気持ちが重くなったりします。写真をやるにあたって写真でジャーナリズムを解釈したりするのはたびたびありますが、ジャーナリストをやることを清水先生のように解釈するのを説いたのは初めてです。とても興味深いです。
(写真 オウカヨウ)

今回の作品は、『チーコ』よりも先入観を持って読むことが出来ました。でも男性が死んでいるなんて気付けませんでした。作品の持つ深みは読者が自由に取れる(=破壊→再構築が出来る)作品こそが高尚なのだと思いました。
(文芸 結城花香)

今回の再構築も面白かったです。つげ義春のマンガは自分でも何冊か持っていたので、自分なりにも再構築してみようと思いました。
(文芸 郄橋亜衣)

前回、解説無しで『海辺の叙景』を読み、なるべく裏の意味などを考えようと努力したが、今回先生の解説を聞き、見逃していた所が多くあったのに驚いた。
特に56ページの男の死を表している所は、言われたら確かにナナメに入っている2本の線はそれを表しているように見えるが、言われるまで全く気付かなかった。
次に学ぶマンガを読む時は、もっとこまかい所まで念入りに見て、解説される前に気づけるようになりたいと思った。
(放送 宮粼香奈子)

『海辺の叙景』を初めて読んだとき、このマンガも『チーコ』と同じように、不気味な感じがしていた。『チーコ』は、分析するうちに、わかってきたけど、『海辺の叙景』は、結局気味が悪かった。男が、まさか死んでいるとは思わなかった。
(演劇 千葉ゆり)

つげ義春のマンガは本当に理解できない。というか、一回読んだだけでは何も分からない。しかし、頭から離れる事はないし、気づいたら別の作品を手にとっている。不思議なものである。
初めて『ねじ式』を読んだ時の衝撃は忘れない。『海辺の叙景』も脳裏に焼きつくインパクトを与えてくれた。
(映画 中田くるみ)

遺影のシーンの所は鳥肌が立ちました。先生の観察力に感動です。
初見でもこのマンガに怖い感覚を覚えたのですが、そういうことだったんだなと納得です。
(文芸 城田昌子)

オイディプス的野望の話は、去年も特殊研究Ⅱの方で聞きました。(『どんぐりと山猫』でした)
運命っていうのは避けられないものですね。「必然」という言葉をひしひし感じました。
(文芸 大西由益)

先生の想像力は凄いと思いました。私みたいな普通の人には考えつかない考察だと思いました。
(文芸 根本留加)

男の人が死んでいるという見方は最初少々深読みしすぎだと思いましたが、拡大図を見て不思議と納得できました。
(文芸 古谷麻依)