「マンガ論」はつげ義春の「古本と少女」

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つげ義春の「古本と少女」
今日の「マンガ論」はつげ義春の「古本と少女」をとりあげた。最初の印象と講義後の感想の違いに注目。


受講生の感想
私がもし、古本屋の少女で少年が好きなら、千円を自分でためて、本を買って、少年へプレゼントすると思います。
(演劇 根岸萌)

今日の授業は自分の中でショックが大きかった。すごく裏切られた気分になった。やっぱり女の人はコワイと思った。でもカワイイからやっぱり許す。
(映画 島原元太)

私も読み終わりはスッキリと爽やかな話だと感じたのですが、少女の裏側には女の悪女の部分が隠されていることに気づき、やはりマンガは単純ではなく、人間の複雑な心理状態をうまく表しているなと思いました。やまみ
(演劇 山口麻未)

先生の説明を聞いて、表向きが明るい話でも、読み方によっては暗くなったり、とても深味が込められている場合が有るのだと思った。この少女は少年を、意識的かそうでないかは分からないが、犯罪者に仕立て上げてしまったなんて、全く想像もつかなかった。人は見かけによらないと思った。
(放送 宮粼香奈子)

私は素直に「女の人=優しい人」と読んでしまいました。先生の取り上げる題材のことですから何かあるとは思ってはいたのですが…。そこまで読み取れず残念です。
(演劇 毛利悟巳)

先生がおっしゃった通り、先生の話を聞くまでは、特にない普通の感想をもちましたが、話を聞いて、とても恐ろしいと感じました。作者は女性にたぶらかされた過去があるのかと思ってしまいました。本当に先生の授業は奥が深いですね。
(文芸 山内葵)

本末「マンガのお約束」として流すところを先生はこまかく一つ一つひろって解読していくところがおもしろいと思いました。おそらく作者自身も意図していない部分も読みとく。そういったマンガの読み方もあるんだなぁと思いました。
(演劇 芳尾まどか)

今回は、「女は怖い」という話だった。確かにこの少女の手紙と千円は、100%の善意、好意ではない。「こういう女に気をつけろ!」というのは、全くその通りである。
(演劇 冨士あゆ)

最初書いた感想文を読み直すと、いかに自分が表面しか読めていなかったのかが分かります。つげ義春の描く女性は怖いですね……!

(文芸 廣中穂菜美)

最初に読んだとき、この女の子はものすごく良い子だったのに、授業を聞いた後は、すごく嫌な女に見えてきました。もしかしたら、この女の子は青年に声をかけさせて、デートにでも誘ってもらおうとしてたのでは? とも思います。私がこの青年だったら、とにかくお礼とデートのお誘いしますから。打算的な女…怖いですね。
(文芸 山田佑美)

『古本と少女』を最初に読んだとき、良い話だなとは思ったものの、なぜか違和感をおぼえた。ただ、なにがそう思わせるのかわからず、感想文に手がつけられなかった。(今思うと、疑問だけ書けばよかった…)タイトルが“少女”である点も気になっていたので、先生のように、リアルに細かくとらえる読み方も習得してみたいと思った。
(演劇 蒲池あかり)

つげ義春の作品には珍しく、温かい話なんだと思ったら、そうではなかったんですね。最後の少年の笑顔にだまされました。もうすぐ二十歳になるとは言え、まだ少女の気分で居るというのにこの娘さんほどの恐ろしさを持っていない私は腑抜けているなあと思いました。
(文芸 結城花香)

今回の『古本と少女』は物語としてもわりと面白かったように思う。授業を聞いていくとなるほど、少女がタイトルになっているように、この物語は少女を追っていくと真相が見えるのだ。少女の陰謀とでも言っていいのだろうか、この事を全く計算していたと考えれば、「女は怖ろしい」という結論に至っても不思議ではない。最後のページ、青年が思い浮かべた少女の顔にも、なぜ黒線がかかっているのか。これが最後のヒントだったのだろう。
(文芸 梅野慎依子)

女の恐さ、『海辺の叙景』に続いて、ドキッとさせられました。リアリズムとして読むと、実態がうかびあがる。面白かったです。
(文芸 高橋亜衣)

古本屋の少女が学生に好意を持っていたのはわかりましたが、千円札を渡さず本の間にはさむことで犯罪をさせるという怖い解釈があったので驚きました。
(演劇 根本聖)