「マンガ論」第二回(平成二十四年度)

ここをクリックしてください エデンの南   清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室  
清水正の著作   D文学研究会発行本   グッドプロフェッサー

「マンガ論」第二回目の講義はつげ義春の「チーコ」。先々週の第一回目の講義の続き。テキストの解体と再構築をダイナミックに展開する。


第二回講義受講生の感想。
人間の心の中は本当に分からないと思った。私も相手との間の溝を感じながら接している人がたくさんいるので、この授業で自分の心を暴かれたように感じた。(映画・坂倉球水)

こんなに短い話なのに、こんなにも意味が隠れていることに驚いています。だんだんと漫画も小説と同じくらい深いんだと思った。(美術・恩田裕理恵)

初めて授業を受けて「チーコ」を読みました。最初に読んだ時はチーコはあくまで「子供」的な立ち位置になると思い読んでいましたので、チーコという鳥が奥さんであるという考察に驚き納得しました。成長しても窓から飛び立たないチーコ、「Peace」の箱の中に押し込められて死んでしまうチーコや夫婦の姿には悲しくなりました。奥さんがチーコを探しているのをガラス戸からそっとみている夫のガラス戸が少し割れて修正されているのも意味があるような気がします。(美術・矢作香菜子)

はじめて「チーコ」を読んだ時、ここまで深い漫画だとは思いもよりませんでした。小さなコマの大きな意味に驚きの連続でした。そしてチーコと奥さんの共通点になぜか泣きたくなりました。この奥さんエライ!! こわいかもしれませんが、私はこの奥さんがとてもステキに見えました。そしてダンナさん。もっとしっかりしなさい! 笑(写真・英賀奈緒子)

私が重要だと思っていたコマは、私が感じていたのとちがう意味で重要で、私が読みとばしていたコマにこの物語においてとても大事な意味が含まれていたりして、とらえかたの幅が広がりました。(写真・手塚菜摘)

今日、初めて出席しました。いままでマンガといったら少女マンガとかばっかり読んでいたので、こういうチーコというマンガがこんなに深いんだと思いました。これからマンガを読む時間がいつもより倍になりそうです。マンガ家ってすごいなとあらためて思いました。(放送・濱田優希)

一番印象に残った言葉は「重要なコマを小さくする」というのでした。また、チーコと女(ヒロイン)を一緒にさせた読み方はとりはだが立つほどぴったり合ってて恐ろしかったです。再構築の力はどうやって身に付ければいいですかね。(放送・白美笑)

チーコを探しているときの奥さんの目がこわいです。踊っている人形が不気味であるという話に感動しました。1コマ目にも描かれていたんですね!!(放送・和田美穂)

小さな一コマに大きな衝撃が秘められている。それに気づき、自分と重ね合わせた時、そのコマは巨大化し己の前に立ちはだかる。物理的な面積ではない、心理的な面積、それは宇宙をも凌駕する。(放送・岡野大地)

最初よんだ時よりすごく「チーコ」の世界が私の中に広がりました! 全然気がつかなかった踊り子の人形の描かれている意味、鳥がみてる鏡と妻がみていた鏡、鳥が倒れているところと、妻が倒れているシーン……タイトルの「チーコ」は本当に妻にも鳥にもかかってるんだなって色んなコマをみてかんじました。いろんな今までよんだ本を何回もよみ直したいと思いました。(演劇・高野璃奈)

「チーコ」はとても地味な作品だなとはじめて読んだ時には思っていましたが、授業の中で作品を解体し再構築することで様々な見方があるのだなととても感心しました。最後の女性の行動には、私も狂気じみたものを感じ、とても怖かったです。来週はドラえもんということで、私たちには身近な漫画が取り上げられるので、どう再構築されるか非常に楽しみです。(演劇・鍋田怜那)

チーコへの見方、かわりまた!! 先生は、゛うやってそういった分析をされているのか気になります。どこから発送が来るんですか?(演劇・内田彩香)

清水先生の再構築された「チーコ」を聴いて大変おもしろく感じた。他のつげ義春作品にも是非触れてみたいと思う。(演劇・鈴鹿通儀)

正直、今日の授業を受けて思ったのは原作つげ義春、脚色清水正の「チーコ」を読んだ気分。作者の意図をはるかに超越してしまってると思っただけに、つげ義春本人はどのような気持ちでこの作品を描いたのか知りたくなった。(映画・松尾豪)

このようなシンプルそうな短編の作品の中でも、自分で考えてたよりも、ずっと多くの要素が隠されていることに驚いた。これから、漫画だけでなく、いろいろなものに対して“再構築”を自分なりにしてみると、新たな発見がありそうだなと感じられた。あと、単純に先生のお話おもしろかったです!!(映画・服部郁子)

ただのびんぼう夫婦が文鳥を飼って失敗する、というだけでなく、ちょっとした背景やキャラクターの表情や視線に注意を払うだけでこんなにまんかをシュールに感じられるなんておどろきだったし、初めてのまんがのよみ方でした。(映画・日比野茉里)

「最後のコマが最初のコマにつながっている」ということは本当に驚きました。これからはそこも意識して漫画を読んでみようと思います。ありがとうございました! 今「モンスター」を読んでいます。授業楽しみにしています!(映画・米山舞)

授業を受けて「チーコ」という作品の中に人間のおろかさや悲しさや愛が描かれているという(男と女の)ことがよくわかりました。同じ作品
を読むのでもただ読むのと、この授業のように読むのとでは全然違って、人生を豊かにすることができると思いました。(映画・藤原真悠)

もう“マンガ論”でなくともよいのではないかと思えるほどだった。もちろん良い意味で言っている。人生とは何か。その愚直な問いが、いつでも清水先生の講義に横たわる。元気が出ました。(文芸・北村哲史)

鳥と「飛べない女」である女がリンクしているとわかってゾクリとした。解体と再構築が本当にすごかった!! 次のドラえもんにも期待してます…!!(文芸・草島江梨子)

最後に風で飛ばされたチーコの絵の白い部分が本当にとけていっているように見えるのはスゴイと思った。(文芸・由雄顕成)

チーコは流れてしまった子どもだと考えていたので、チーコを演じるとなった時、直感的に「ムジャキ」という言葉が浮かびました。人間以外のものを演じられて楽しかったです。宇宙の彼方を差す事はできませんでしたが、いつか絶対差してみせます。ドラえもん大好きなので来週が楽しみです。(演劇・望月俊祐)

チーコと女の人が重なるとは、初め思わなかったんですが、授業聞いてる内になるほどなーと思いだしました。女がチーコを探しているとき、まるで本当に人殺しをしてしまったかのように男がうろたえているなーと思いました。外にいる女の家の中から見ている男の顔が人を殺しそうな顔に見えました。(演劇・塩澤かなこ)

最終コマが最初のコマに戻るのがすごいと思いました。普通に読んだ時は仲の良い夫婦だと思ったので、腹の中に色んな気持ちを抱えているとわかって最初と印象が変わりました。紙をしげみの中に置いて「本物みたいでしょ」と言う奥さんが怖いです。かわいい女性というイメージから怖い女という印象に変わりました。(文芸・篠原萌