プーチンと『罪と罰』(連載27)

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プーチンと『罪と罰』(連載27)

清水正

 

  ロジオンの言葉にさらに耳を傾けることにしよう。

 

 「要するに、これまでのぼくの議論には、ごらんのとおり、かくべつ新しい点など少しもないのです。こんなことは、もう何百ぺんも書かれたり、読まれたりしたことです。ところで、凡人、非凡人の分類については、それが少し気まぐれだってことに、ぼくも異存ありません。しかし、ぼくもあえて、正確な数字にもとづいて主張するわけじゃありませんからね。ぼくはただ根本思想を信じるだけです。その根本思想というのは、こうなんです。人は自然の法則によって、概略二つの範疇にわかれている。つまり自分と同様なものを生殖する以外になんの能力もない、いわば単なる素材にすぎない低級種族(凡人)と、いま一つ真の人間、すなわち自分のサークルの中で新しい言葉を発する天稟なり、才能なりを持っている人々なのです。その細別は、もちろん無限にあるわけですが、この二つの範疇を区別する特質は、かなり截然としています。第一の範疇、すなわち材料は、概括的にいって保守的で、行儀がよく、服従をこれ事として、服従的であることを好む人々です。ぼくにいわせれば、彼らは服従的であるべき義務すら持っているのです。なぜなら、それが彼らの使命なのですからね。そこには、彼らにとって断じてなんら屈辱的なものはありません。第二の範疇はすべてみな、法律を踏み破壊者か、あるいはそれに傾いている人たちです。それは才能に応じて多少の相違があります。この種の人間の犯罪はもちろん相対的であり、多種多様であるけれど、多くはきわめてさまざまな声明によって、よりよきものの名において、現存せるものの破壊を要求しています。で、もしおのれの思想のために、死骸や血潮を踏み越えねばならぬような場合には、彼らは自己の内部において、良心の判断によって、血潮を踏み越える許可をみずから与えることができると思います――もっとも、それは思想の性質により、思想のスケールによって程度の差があります――ここを注意してください。ただこの意味においてのみ、ぼくはあの論文の中で、犯罪にたいする彼らの権利を論じているわけなのですから(この議論が法律問題から始まっているのを、ご想起ねがいます)。しかし、大して心配するものがものはありませんよ。群衆はほとんどいつの時代にも、彼らにこうした権利を認めないで、彼らを罰し、彼らを絞殺してしまいますから(程度に多少の相違はありますがね)。そして、その行為によってきわて公明正大に、自分の保守的使命をはたしているのです。が、ただし次の時代になると、この同じ群衆が前に罰せられた犯罪人を台座にのせて、彼らに跪拝するのです(多少程度の差こそありますが)。第一の範疇は、現在の支配者であり、第二の範疇は、未来の支配者であります。第一の範疇は、世界を保持して、それを量的に拡大していく。第二の範疇は、世界を動かして、目的に導いていく。だから両方とも同じように、完全な存在権を持っているのです。要するに、ぼくの考えとしては、だれでもみな同等の権利を持っているんです。そして――Vive la guerre eternelle(永久の戦い万歳です)もちろん、新しきエルサレムの来現までですがね」

 ここに引用した箇所を何度読んだかしれないが、今回、ロシアのウクライナ侵攻の現実と重ねて読むと、まさにロジオンの〈非凡人〉思想はプーチンのそれを端的に語っているように思える。

     二〇二一年はドストエフスキー生誕二百周年ということで世界各国でシンポジウムや研究会が開催され、ドストエフスキーに関する研究著作も多く刊行された。日大芸術学部芸術資料館では「清水正・批評の軌跡――ドストエフスキー生誕二百周年に寄せて」の展示会が開催された。この年は日大芸術学部創設百周年でもあったので、わたしは記念として二冊の著作(編著『ドストエフスキー曼陀羅――松原寛とドストエフスキー』と著書『清水正ドストエフスキー論全集』第11巻「ドストエフスキーと松原寛」)を刊行した。わたしにとってドストエフスキー論を書き続けることは生涯にわたる揺るぎなき使命としてあるので、これからも絶え間なく取り組むことになる。

 さて、プーチンであるが、彼はこの年の十一月十一日、モスクワのドストエフスキー博物館を訪れ、「ドストエフスキーは偉大な思想家である」とノートに書いている。プーチンドストエフスキーの全作品を読破しているかどうかは不明だが、少なくとも五大作品ぐらいは読んでいると思われる。ロシアの政治家に限らず、政治家や革命家たるもの、ドストエフスキーの『罪と罰』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』ぐらいは必ず読んでおかなければならないだろう。

 日本の政治家の口からドストエフスキーのドの字も出てこないのは、要するに日本のトツプクラスの政治家が世界に通じる国家観や思想を確立していないことの一つの証であろう。北方領土返還を真に願う政治家なら、『悪霊』におけるニコライ・スタヴローギンやピョートル・ヴェルホヴェーンスキーの思想、シガリョフの秘密革命結社からの脱会理由、『カラマーゾフの兄弟』におけるイワンの「大審問官の劇詩」ぐらいは知っておかなければならないが、今やそんなことを期待することはまったくできない。

 プーチンドストエフスキーの偉大さを彼なりに理解しているが、日本の政治家の頭にあるのは経済と権力保持ぐらいのもので、明確な国家観をみずからの言葉で語ることもできない。ロジオンの〈非凡人〉思想に照らし合わせればまさに〈凡人〉の群ということになる。

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プーチンと『罪と罰』(連載26)

清水正

 

 ドストエフスキーは作中にロジオンの論文そのものを紹介していない。書かれているのは〈論文〉に対するロジオンとポルフィーリイの解釈であり見解である。ポルフィーリイは〈非凡人〉を〈あらゆる不法や犯罪を行ないうる人〉云々と捉え、彼らは「あらゆる犯罪を行ない、いかなる法律をも踏み越す権利を持っている」と理解する。ポルフィーリイの〈非凡人〉解釈を予審判事としての〈挑戦〉と受け止めたロジオンは、素直なつつましい調子を保ちながら「ぼくが書いたのは、ぜんぜんそうでもないんですよ」と言って、次のように言葉を続ける。

 

 「もっとも、正直なところ、あなたはほとんど正確に、あの内容を叙述してくだすった。いや、なんなら、ぜんぜん正確にといってもいいくらいです。(……彼はぜんぜん正確だと承認するのが、真実いい気もちだったのである。)ただ唯一の相違というのは、ほかでもありません、ぼくはけっしてあなたがおっしゃったように、非凡人は常に是が非でも、あらゆる不法を行なわなければならぬ、かならずそうすべきだと主張したのじゃありません。そんな論文は発表を許されなかったろう、とさえ思われるくらいです。ぼくはただ次のようなことを暗示しただけなんです。すなわち『非凡人』は、ある種の傷害を踏み越えることを、自己の良心に許す権利を持っている……といって、つまり公の権利というわけじゃありませんがね。ただし、それは自分の思想――ときには、全人類のために救世的意義を有する思想の実行が、それを要求する場合にのみかぎるのです。(中略)ぼくの考えによると、もしケプレルやニュートンの発見が、ある事情のコンビネーションによって、ひとりなり、十人なり、百人なり、あるいはそれ以上の妨害者の生命を犠牲にしなければ、どうしても世に認めさせることができないとすれば、その場合にはニュートンは、自分の発見を全人類に普及するため、その十人なり百人なりの人間を除く権利があるはずです。いや、そうしなければならぬ義務があるくらいです……しかし、それかといって、ニュートンがだれかれなしに手当たりしだいの人を殺したり、毎日市場でどろぼうしたりする、そんな権利を持っていたという結論は、けっして出て来やしません。それから、ぼくの記憶しているところでは、こんなふうに論旨を発展さしたように思います。つまりあらゆる……まあたとえば、全人類的な立法者なり建設者なりは、太古の英雄をはじめとして、引き続きリカルガス、ソロン、マホメット、ナポレオンなどといったような人たちは、皆ひとり残らず、新しい法律をしいては、その行為によって、従来世人から神聖視されてきた父祖伝来の古い法令を破棄した、その一事だけでもりっぱな犯罪人です。したがってむろん彼らは、おのれを救いうるものはただ血あるのみ、という場合になると(たといその血が時として、ぜんぜん無辜なものであろうと、古い法令のために勇ましく流されたものであろうと)、流血の惨にすらちゅうちょしなかったのです。これらの人類の恩恵者、建設者の大部分が、とりわけ恐ろしい流血者であったということは、刮目に価するくらいじゃありませんか。ひと口にいえば、人はだれでも、単に偉人のみならず、わずかでも凡俗の軌道を脱した人は、ちょっと何か目新しいことをいうだけの才能にすぎなくとも、本来の天性によってかならず犯罪人たらざるをえないのです――もちろん、程度に多少の相違はありますがね。これがぼくの結論なんです。でなくては、とても凡俗の軌道を脱することはむずかしい。が、それかといって、そのまま凡俗の軌道にあまんじていることは、やはり本来の天性によってできない相談です。いや、ぼくにいわせれば、むしろあまんずべからざる義務があるくらいです。」

 ここに書かれている〈非凡人〉思想をプーチンウクライナ侵攻に当てはめればより現実味を帯びることになろう。ロジオンによれば〈非凡人〉は「ある種の傷害を踏み越えることを、自己の良心に許す権利を持っている」のであり、それは「自分の思想――ときには、全人類のために救世的意義を有する思想の実行が、それを要求する場合にのみかぎる」のである。独裁者プーチンは自分の存在を〈ナポレオン〉と同様の〈非凡人〉と見なし、〈ウクライナ侵攻=ある種の傷害を踏み越えること〉を自己の〈良心〉(совесть)に照らして許しているのである。

 プーチンは〈ウクライナ侵攻〉を〈新ロシア帝国の建設=全人類のために救世的意義を有する思想の実行〉と捉えていることは間違いないであろう。戦争は当然のこととして兵士のみならず多くの国民の血を流すことになる。どんなに自由な民主主義国家のメディアであろうと戦場での残虐な行為をそのまま加工せずに放映することはできないだろう。戦場において人間は、平和な日常生活では考えも及ばないような残酷な行為に走ることができるのである。

 人類はすでに二つの世界大戦を経験していながら、人間同士が敵味方に分かれて殺し合う〈ドラマ〉を排除することができないでいる。俯瞰的に見れば、〈独裁者〉(非凡人)一人が登場してしまうと、服従をこととする凡人の群はその〈非凡人〉の命令に従うことになってしまう。凡人たちは〈非凡人〉が唱える全人類のための〈救世的意義〉を根底から切り崩すことができない。

 とりあえず〈独裁者〉は絶対的権力を行使して、自ら決断した〈正義〉のための〈踏み越え〉を全うする。この〈独裁者〉の正義のための〈暴力〉に対して、アメリカ、西欧諸国の首脳たちも〈暴力〉によって対応せざるを得ない。イエスが生前、命がけで説いた〈愛と赦し〉は、プーチンウクライナ侵攻を支持するロシア正教はもとより西欧のキリスト教国においても現実的な作用を及ぼしていない。

 プーチンは〈神〉と連帯し、一体化して自らの権威権力を絶対化して〈踏み越え〉に臨んでいる。このプーチンの絶対性を根本から切り崩すためには、プーチン以上の〈暴力装置〉を駆使するしかないような状況下にある。

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清水正

 

 さて、猫が鼠を弄んでいるようなポルフィーリイ予審判事とロジオンの、〈犯罪に関する〉論文を巡る対話にさらに耳を傾けることにしよう。 ポルフィーリイは同席していたラズミーヒンに向かって次のようにロジオンの論文を紹介する。

 「問題はだね、この人の論文によると、あらゆる人間が『凡人』と『非凡人』にわかれるという点なのさ。凡人は常に服従をこれ事として、法律を踏み越す権利なんか持っていない。だって、その、彼らは凡人なんだからね。ところが非凡人は、とくにその非凡人なるがために、あらゆる犯罪を行ない、いかなる法律をも踏み越す権利を持っている。たしかにそうでしたね、わたしが誤解していないとすれば?」(289)〔Всё дело в том, что в ихней статье все люди как-то разделяются на 《обыкновенных》и《необыкновенных》. Обыкновенные должны жить в послушании и неимеют права переступать закона, потому что они, видите ли, обыкновенные. А необыкновенные имеют право делать всякие преступления и всячески преступать закон, собственно потому, что они необыкновенные. Так у вас, кажется, если только не ошибаюсь?〕(ア・199)

 ロジオンの〈非凡人〉思想に関してはすでに言及したが、ここではテキストにいちいち当たりながら改めて検証してみたい。そもそも『罪と罰』においてロジオンのこの〈非凡人〉思想は重要な位置を占めているが、余りにも図式すぎるためか、この思想に深く立ち入って批評する者はいないようだ。

    特に小林秀雄ドストエフスキー論に影響された批評家は、ロジオンの思想などにまともに関わること自体を回避する傾向がある。見ることを重要視して論じることなどは二流の評家がなかすことだと言わんばかりの小林秀雄の批評観の与えた影響は小さくはない。わたしは作品批評においては見ることも論じることも共に重要だと思っているので、ロジオンの思想についても、何度でも繰り返し、執拗に検証したいと思っている。読み返すたびに新たな発見があるのだ。

 ポルフィーリイは先に引用した言葉の直前に、ロジオンの論文に興味を抱いた箇所は結末の方に暗示的に書かれた〈一つの感想〉であるとし、それを「つまり世の中には、あらゆる不法や犯罪を行ないうる人……いや、行ないうるどころか、それにたいする絶対の権利を持ったある種の人が存在していて、彼らのためには法律などないにひとしい――と、こういう事実にたいする暗示なのです」と言っている。

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発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

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プーチンと『罪と罰』(連載24)

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清水正

 

ロジオンの犯罪に関する論文

 初めてロジオンと会ったときにポルフィーリイ予審判事は、彼が二ヶ月前に「ペリオーチェスカヤ・レーチ」(定期新聞)に掲載された〈犯罪に関する論文〉を読んだことを明かす。この論文はロジオンが半年前に執筆した「犯罪遂行の全過程における、犯罪者の心理状態を検討した」ものだが、彼自身は論文投稿先の「エジェネジェーリナヤ・レーチ」(週間新聞)が廃刊になったこともあり、この論文のことをすっかり失念していた。ポルフィーリイはこの論文を読んで、その内容と執筆者に強い関心を寄せていた。そこでポルフィーリイは初対面のロジオンに向かって意図的にこの論文の話を持ち出したわけだが、ロジオンは論文には頭文字の署名しかしていなかったのにどうして論文の執筆者を特定できたのかと疑問を発する。

    書かれた限りで分かるのは、ポルフィーリイは今般世を騒がしている〈高利貸し殺害事件〉を予審判事として担当するにあたって、関係者から様々な情報を集め、分析していたということである。ポルフィーリイは署名された〈頭文字〉(Р・Р・Р=エル・エル・エル)にも興味を抱いたに違いない。江川卓の調査によれば、ロシア人の名前・父称・姓でР(エル)が三つ付くのはないらしい。とすれば、ポルフィーリイはこの頭文字三つを脳裏に刻印したはずである。

 ロジオンの疑問に対するポルフィーリイ自身の返事は「ふとしたことでね、しかも、つい二三日まえですよ。編集者から聞いたんです。知り合いなもんですから……非常な興味を感じましたよ」である。この言葉をどう読めばいいのか。〈つい二三日まえ〉の〈ふとしたこと〉が具体的に語られていないし、知り合いの〈編集者〉から聞いた情報もなんら具体性を持っていない。ポルフィーリイが実際に論文を読んだのは、発表された二ヶ月前ではなく、編集者と会った二三日前であった可能性もある。この編集者が定期新聞の担当者であれば、投稿者〈Р・Р・Р〉の実名(ロジオン・ロマーノヴィチ・ラスコーリニコフ)も住所も知っていたかもしれない。だとすれば、ポルフィーリイはロジオンと会う前に、すでに〈Р・Р・Р〉の実名を知っていたことになる。

 ポルフィーリイは論文の話を出す前に、ロジオンがアリョーナ婆さんの所に質入れしていた件について次のように語っている「あなたのふた品は、指輪も時計も、あの女のところで一つの紙包みになっていました。そして紙の上には、あなたの名まえが鉛筆ではっきり書いてありました。それからあなたから、その品を預かった日付も同じように……」(280)と。つまり、ポルフィーリイはロジオン直筆の名前を知っていた。それが〈ラスコーリニコフ〉なのか〈ロジオン・ラスコーリニコフ〉なのか、それともフルネームの〈ロジオン・ロマーノヴィチ・ラスコーリニコフ〉なのかは不明だが、しかし一つでも〈Р〉が見いだせれば、論文の著者とロジオンが同一人物であることは分かったであろう。

 いずれにしても、目の前に存在するロジオンが〈犯罪に関する論文〉に〈Р・Р・Р〉と署名した青年であり、独自の理論によって二人の女を殺害した青年であることをポルフィーリイ予審判事はすでに実証的次元でも明確に知っていたことになる。因みに、ポルフィーリイはロジオンの質入れの〈日付〉も知っているが、その〈日付〉を口にすることはない。『罪と罰』において〈日付〉は作者によって封じられている。作者と密通しているポルフィーリイは、作者が封印したことを敢えて暴くような〈批評〉をすることは絶対にしない。批評は、ポルフィーリイ予審判事を見えない糸で操っている作者の手が見えないようでは、テキストの深淵に踏み込んでいくことはできない。

 

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文芸誌「新潮」を読む。かならず読むのが大澤信亮の連載「小林秀雄」で、これは8月号で87回となっている。

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近況報告

文芸誌「新潮」を読む

 今現在、日本では文芸誌として「群像」「文学界」など刊行されているが、わたしは「新潮」しか読んでいない。大学での授業は対面ではなく、大学院での授業は電話で行っている。大学へは今年、二回しか行っていない。図書館、資料室に顔を出すこともないので、文芸誌を手に取ることもない。ということで、「群像」や「文学界」でどのような作品が掲載されているのか知らない。

「新潮」はわたしの主催するD文学研究会が発行する著作の広告を表2に載せていることもあり、毎月送られてくる。全部を読む気力も暇もないので関心のあるものだけ読むことにしている。

 かならず読むのが大澤信亮の連載「小林秀雄」で、これは8月号で87回となっている。大澤の小林秀雄論を最初に読んだのは2013年4月号の「新潮」に掲載された「小林秀雄論──日本の批評」であった。わたしはこの時、仲間と一緒に台湾旅行中で、飛行機の中やホテルで読んだ記憶がある。この号は「没後30年特集 2013年の小林秀雄」として組まれた。わたしはこの時から大澤信亮に注目し、彼の小林秀雄論の連載を読み続けているのである。正宗白鳥キリスト教に関する検証あたりから改めて興味を持って読んでいる。日本人におけるキリスト教信仰の問題は今まで本格的に論じられてきたのだろうか。正宗白鳥の正直さと回心の問題は面白い。

 さて8月号に掲載されたもので読んだのは沢木耕太郎の「天路の旅人」と坂本龍一の「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」である。両氏の作品は初めて読んだ。前者はかなり読みやすかった。後者はインタビューでの話を編集部でまとめたということだが、これも面白く読めた。

 旅にかられる人間はいったい何にかられているのだろうか。わたしは精神宇宙への旅立ちには関心があるが、実際に旅することにはほとんど関心がない。一年のうち必要に迫られて二十回ほど部屋を出るだけ、あとは部屋に閉じこもっていてもなんら不満に思うことはない。

 坂本龍一はがん治療のただなかにあってこの作品を表している。たまたま『ベラミ』の中で、タイトルと同様のセリフにであったので引用しておこう。ベラミの元戦友で友達のフォレスチェが死を間近に控えたある日、ベラミと妻を前に次のように語る「こんな夕日が、もうあと何遍見られるだろうなな?‥‥八遍‥‥十篇‥‥十五遍か二十遍‥‥ことによったら三十遍か‥‥、それから上は駄目だな‥‥君たちは、まだ先が長い‥‥僕は駄目だ‥‥そしてこういう光景は続いて行くのだ‥‥俺が死んだ後でも、俺が生きているのと同じに‥‥」(岩波文庫 杉捷夫訳)

 



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人間のあるべき姿を検証する。人道主義ヒューマニズム)と宗教の問題。対話によって世界平和の実現とその維持は可能なのか。人道主義一神教的絶対主義は握手することが可能なのか。三回に分けて発信していますがぜひ最後までご覧ください。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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目次

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 午後六時過ぎには「同心房」で飲み会。参加者は四人。ここ何日間か、わたしはモーパッサンの『ベラミ』の批評を展開しているので、主人公ジョルジュの女たらしぶりについて一時間ほど熱弁をふるった。

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近況報告

『ベラミ』論開始

 7月12日火曜日は日大病院での診察の後、調剤薬局でリフィル処方箋の件で一時間半もの時間をとられ、予定の一時間遅れで大学についた。パソコンが不具合のためコンピューターに詳しい文芸学科の助教二人にみてもらうことになっていた。二時間近くたってようやくギャラクシーの更新ができていなかったことが判明。無事、パソコンは復帰することになった。

 午後六時過ぎには「同心房」で飲み会。参加者は四人。ここ何日間か、わたしはモーパッサンの『ベラミ』の批評を展開しているので、主人公ジョルジュの女たらしぶりについて一時間ほど熱弁をふるった。実はこの時点で、わたしはテキストにした新潮世界文学22の最初の2ページまでしか読んでおらず、そこまでで百十枚の批評を書いていた。あえてこのような批評方法を採用したわけだが、『ベラミ』を『罪と罰』と関連付けて読むとけっこうおもしろかった。さて今後どのように批評を展開していくかで少し迷った。一行一行を検証していくような批評をすればこの先何年かかるかわからない。そこで、残りの部分、とは言っても作品の全部に近いが、一挙に読んで、そこから再び批評することにした。作品展開は読みやすいので15日、16日の二日で読み終えた。これから興味のあるテーマで書き進めていきたいと思っている。

 



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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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日大病院で今回、「薬は30日分までに制限」ということを告げられた。納得いかず。

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近況報告

7月12日火曜日、三か月ぶりに日大病院へ。難病指定の水泡性類天疱瘡と帯状疱疹後神経痛の治療のために、現在私は三か月に一度、お茶の水の日大病院に通っている。ところで、今回、「薬は30日分までに制限」ということを告げられた。2022年5月24日付けの病院長指令のビラには次のように記されていた。原文通りに引用する。

 

ご来院のみなさまへ    22022年5月24日

 院外処方は30日分までに制限いたします

     日本大学病院は2022年7月1日より

 院外処方は30日分までの処方となります。

  ※31日分以上は処方できないようになります

 日本大学病院では、令和4年7月1日(金)より院外処

方を30日分までに制限いたします。

 以前に長期処方を行わないようにする旨、通知いたしま

したが、未だ外来患者さんが非常に多く、医師および看護

師の負担が増大していることから、このような措置を行う

ことになりました。

 現在、30日分より多く処方されており状態が安定して

いる患者さんにおいては、今後ますます積極的に当院が信

頼している他の医療機関の先生方への紹介を行ってまいり

ますので、何卒ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上

げます。ただし、病状が不安定になった場合、緊急時、各

種検査や治療の際には優先的に診療させていただきます。

 医師の判断により、30日分より多く処方が必要な患者

さんへは、リフィル処方箋を発行いたします。その際は、

主治医より説明がございますのでご確認ください。

                     病 院 長

    

 この文章はあたかも患者の側に立っているように見えるが、少なくともわたしにとっては何の益もない。今まで三か月に一度、診察を受けて三か月分の薬を処方され、なんの問題もなかった。緊急の場合は大学病院に電話連絡すれば担当医師の指示を得ることになっており、今回の通告がいったい誰のためになるのかまったく理解できない。神経痛で歩くのが苦痛をともない、我孫子から病院まで通うのにたいへんつらい思いをしているのに、なぜ三か月に一度ですませたことを三度にされなければならいのか。

院外処方を30日分までに制限」する理由が明確でない。日大病院を選ぶにあたっては患者各々の理由があろう。わたしは日大出身者であり、入院時から七年間、担当医師を信頼して医師と患者の枠を越えて人間関係を結んでいる。ほかの医療機関を紹介するからそちらへ行きなさい、というのはどういうことだろうか理解に苦しむ。医師や看護師の負担増加をふせぐためと書いてあるが、わたしの場合で言えば、一回で済む診察および処方を三回にするわけだから、患者であるわたしばかりでなく担当医師の負担も増加するということになる。わたしは今回の病院長通告には不満であり、納得がいかないので、これからもこの問題をとりあげたいと考えている。

 最後に、なぜ「病院長」だけを記し、氏名を明示しないのか。肩書だけの通告文そのものがふしぎである。文学にかかわる者で「小説家」「詩人」「文芸批評家」だけを記すものはいない。きちんと名前を記して通告文の責任者の所在を明確にしておくのが公人の最低限の礼儀であろう。

 今、日大は新理事長を迎え、新しい解放的な日大の構築に向かって歩み始めた。日大病院は患者や現場の医師の意見を十分にすくい上げ、民主主義の手続きを経て、方針を定めてほしい。今回、わたしは「リフィル処方箋」などという聞きなれない言葉をネットで調べてそれなりに理解したが、このやり方でわたしはもとより調剤薬局のかたの労力も増えたことだけは確かである。

 



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