プーチンと『罪と罰』(連載25)

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                清水正・画

 

プーチンと『罪と罰』(連載25)

清水正

 

 さて、猫が鼠を弄んでいるようなポルフィーリイ予審判事とロジオンの、〈犯罪に関する〉論文を巡る対話にさらに耳を傾けることにしよう。 ポルフィーリイは同席していたラズミーヒンに向かって次のようにロジオンの論文を紹介する。

 「問題はだね、この人の論文によると、あらゆる人間が『凡人』と『非凡人』にわかれるという点なのさ。凡人は常に服従をこれ事として、法律を踏み越す権利なんか持っていない。だって、その、彼らは凡人なんだからね。ところが非凡人は、とくにその非凡人なるがために、あらゆる犯罪を行ない、いかなる法律をも踏み越す権利を持っている。たしかにそうでしたね、わたしが誤解していないとすれば?」(289)〔Всё дело в том, что в ихней статье все люди как-то разделяются на 《обыкновенных》и《необыкновенных》. Обыкновенные должны жить в послушании и неимеют права переступать закона, потому что они, видите ли, обыкновенные. А необыкновенные имеют право делать всякие преступления и всячески преступать закон, собственно потому, что они необыкновенные. Так у вас, кажется, если только не ошибаюсь?〕(ア・199)

 ロジオンの〈非凡人〉思想に関してはすでに言及したが、ここではテキストにいちいち当たりながら改めて検証してみたい。そもそも『罪と罰』においてロジオンのこの〈非凡人〉思想は重要な位置を占めているが、余りにも図式すぎるためか、この思想に深く立ち入って批評する者はいないようだ。

    特に小林秀雄ドストエフスキー論に影響された批評家は、ロジオンの思想などにまともに関わること自体を回避する傾向がある。見ることを重要視して論じることなどは二流の評家がなかすことだと言わんばかりの小林秀雄の批評観の与えた影響は小さくはない。わたしは作品批評においては見ることも論じることも共に重要だと思っているので、ロジオンの思想についても、何度でも繰り返し、執拗に検証したいと思っている。読み返すたびに新たな発見があるのだ。

 ポルフィーリイは先に引用した言葉の直前に、ロジオンの論文に興味を抱いた箇所は結末の方に暗示的に書かれた〈一つの感想〉であるとし、それを「つまり世の中には、あらゆる不法や犯罪を行ないうる人……いや、行ないうるどころか、それにたいする絶対の権利を持ったある種の人が存在していて、彼らのためには法律などないにひとしい――と、こういう事実にたいする暗示なのです」と言っている。

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