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清水正・画
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有即無 無即有 有無即空 空即空 空空空 正空 (清水空雲)
随想 空即空(連載5)
正宗白鳥恐るべし(4)
小林秀雄はドストエフスキー研究から離れた理由としてキリスト教がわからなかったと言っている。小林秀雄は『罪と罰』論で、ポルフィーリイ予審判事の眼差しに立たなければ作品世界を理解することはできないと書いたが、論の最後に「すべて信仰によらぬことは罪なり」というパウロの言葉を引いている。わたしはここに小林秀雄の信仰に対する曖昧さと、それを凝視することのなかった自己欺瞞を見た。
ポルフィーリイは二人の女を斧で叩き殺したロジオンに向かって「あなたは太陽であり、太陽は太陽らしくしなさい」とか、「いつまで五十カペイカ並の分別にとどまっているのか。いきなり飛び込んでしまいなさい。そうすれば向こう岸へたどりつくことができますよ」とかいった預言者風の言葉を発している。分別を捨てて、キリストの言葉に従えば、救われるというような意味の言葉を発しているこの予審判事は、ロジオンに「いったいおまえは何なのだ」と問われて、「わたしはすっかりおしまいになってしまった人間だ」と答えている。なぜ、〈すっかりおしまいになってしまった人間〉が、殺人を犯して、その犯罪に〈罪〉(грех)意識を覚えることのなかったロジオンを〈太陽〉に例えたり、救いの途を指示したりできるのか。
わたしには突っ込みどころ満載のポルフィーリイ予審判事に対して、小林秀雄はなんら疑問の眼差しを向けることがなかった。ドストエフスキーは『罪と罰』のエピローグで、殺人者ロジオン、罪意識に遂におそわれることのなかったロジオンを復活の曙光に輝かせる。「思弁の代わりに命(жизнь)が到来した」と書いて、作者はロジオンの復活を保証する。それでは「すべて信仰によらぬことは罪なり」、このロマ書からの言葉を引いた小林秀雄はどうなのか、ということが問われるだろう。小林秀雄がパウロと同じく決定的な〈回心〉を体験していないのであれば、この引用こそ罪深いレトリックとなろう。
『罪と罰』は真剣に、真摯に、自分の実存を賭けて読まなければ何の意味もない。小林秀雄は〈すっかりおしまいになってしまった人間〉の〈信仰〉を、レトリックで誤魔化してはならなかったのだ。晩年の小林秀雄が用意した答えは「キリスト教が分からなかった」であるが、もちろんその内実をしっかり書かなければそんな〈批評〉などどうでもいい、ということになろう。正宗白鳥の小林秀雄に向けられた言葉と〈笑声〉は、小林秀雄のドストエフスキーに関わる姿勢そのものに向けられていたと解することができる。正宗白鳥恐るべし、である。
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お勧め動画・池田大作氏の「人間革命」をとりあげ、ドストエフスキーの文学、ニーチェの永劫回帰・アポロン対ディオニュソス、ベルグソンの時間論などを踏まえながら
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「清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。
令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ
発行日 2021年12月3日
発行人 坂下将人 編集人 田嶋俊慶
発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
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