随想 空即空(連載197)

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随想 空即空(連載197)

清水正  

 

 わたしは十代後半からドストエフスキーを読み、批評してきた。こういった生活は謂わば観念的生活であって、もちろんその間、食べたり寝たりしているわけだが、そういった実生活よりも観念生活の比重が大きかった。大学に入って書きためたドストエフスキー論を自費出版するために段ボール工場でバイトした。このバイトは純粋に肉体労働で、寝不足で痩身のわたしには決して楽ではなかったが、ほかの知的なバイト先を見つけようなどと言う気持ちはさらさらなかった。知的な仕事はドストエフスキーを読み書くことで十分であった。またわたしは、書き上げた自分の批評文を誰かに評価してもらおうなどという気持ちはなかったので、商業雑誌が主催する文芸賞に応募しようなどとは思わなかった。選考委員の顔ぶれを見ただけでも応募する気は失せた。はたから見れば、いかにも生意気な文学青年と映っていたかも知れないが、当時のわたしは打倒小林秀雄に燃えていたので、ほかのことはどうでもよかったのである。

 周知の通り、小林秀雄ドストエフスキー研究をライフワークとしていたにもかかわらず、途中でドストエフスキーから離れた。その理由を彼は晩年「キリスト教がわからなかったから」と説明している。キリスト教の何がわからなかったのか、彼は具体的に何も書いていないが、彼のドストエフスキー論は彼特有のレトリックを駆使して、曖昧を曖昧なままに処理している。わたしは野暮を承知の上で、小林風レトリックを封印し、執拗にテキストに当たることを心がけてきた。

 批評行為は自己要請によるもので、他人からのものではない。原稿を執筆することで原稿料を稼ごうと思ったことは一度もない。小林秀雄の場合は雑誌「改造」の懸賞論文に応募しているから、最初から彼の批評行為は売文稼業であったことになる。売文稼業であるからには、注文主の意向と読者の反響を顧慮せざるを得ない。わたしの場合はドストエフスキーを読んで自分が思ったことを自分の文章で書き記すことが第一目的であるから、基本的に読者を念頭に置くことはない。読者がいるとすれば、それはわたし自身であって、自分が納得すればいいということになる。当然、独断だとか自分勝手という批判も生じることになるだろうが、そういった批判があったとしても意に介することはない。こういった仕方で半世紀以上も書き続けてきたので、もはやわたしのやり方に批判がましいことを言うひともいないだろうと思っている。

 幸いにもわたしは大学に勤めることになったので、本を読み、批評し、講義すること自体が仕事となった。つまり売文などまったくする必要がなかったので、その意味でわたしは快適な批評活動が続けられたことになる。 もし大学に職を得られず、生活の糧を他の職業に求めたとしたら、おそらくずいぶんと辛い二重生活を送らざるを得なかったに違いない。大学にいてすら、研究時間はそうそうとれない。わたしは若い頃は研究室での読書や執筆が可能と考えていたが、実際は会議(教授たちの代行)や教育雑務に追われた。しかも指導教授との確執などもあって、完全に窓際に追い込まれ、雑務ですらしてはならないという命令が下された。辞職勧告も二度ほど受けた。わたしは計七年ほど副手の任についていたが、それは同時に闘いの連続であった。詳細は語らないが、学内権力の座が移行した際、わたしは助手に推薦され、闘いは一段落した。それ以降、わたしはつまらない闘いに巻き込まれることなく、先に記したように快適な研究活動が可能となった。

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