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清水正・画
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有即無 無即有 有無即空 空即空 空空空 正空 (清水空雲)
随想 空即空(連載215)
わたしは屋根裏部屋の空想家ロジオンの内的世界を共有しながら、そういった自分の姿を冷静に見つめる視点を失うことはなかった。『罪と罰』に没頭するような資質を持った青年が紋切り型の受験勉強に向かないのは当たり前のことで、翌年四月わたしは日大芸術学部文芸学科に入学した。入学してすぐに大学紛争が勃発、授業は休講が続いた。わたしは革命にはなんの希望もなく、平凡社版の米川正夫訳『悪霊』を熟読した。わたしの大学一年時はドストエフスキーの作品を読むこと、批評すること、そして自費出版費用を稼ぎ出すために芸術学部から歩いて三十分ほど離れた段ボール工場でバイトした。わたしはロジオンとは違って行動にいかなる幻想も抱くことはなかった。芸闘委たちの組織したデモ行進を大講堂の二階から眺めていたわたしの内に、何か深く疼くものを感じはしたが、この疼きが行動へと駆り立てることはなかった。当時のわたしにとって行為と呼べるべきものはドストエフスキーの四大作品(『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』)を批評すること以外にはなかった。自意識が肥大したわたしが望んだのは、肉体に束縛されない精神の自由であり、コーヒーと煙草がその同伴者であった。体重は四十三キロ、わたしはヨガ行者のように腹部を自在に動かせた。
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お勧め動画・池田大作氏の「人間革命」をとりあげ、ドストエフスキーの文学、ニーチェの永劫回帰・アポロン対ディオニュソス、ベルグソンの時間論などを踏まえながら
人間のあるべき姿を検証する。人道主義(ヒューマニズム)と宗教の問題。対話によって世界平和の実現とその維持は可能なのか。人道主義と一神教的絶対主義は握手することが可能なのか。三回に分けて発信していますがぜひ最後までご覧ください。
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