随想 空即空(連載105)内村鑑三の不敬事件を巡って#ドストエフスキー&清水正ブログ#

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清水正

  「いっさい誓ってはならない」これはマタイ福音書5章34節のイエスの言葉である。十七歳の鑑三がこのイエスの言葉を知っていたのかどうか。おそらく知らなかったであろう。鑑三はともかく、クラークの教えを直に受けていた第一期生の者達はどうだったのだろうか。「イエスを信ずる者たちの契約」を作成したのがクラークであるから、クラークはもとよりその絶対的影響下にあった第一期生達は、イエスの「いっさい誓ってはならない」という言葉をそのままには受け取っていないかったことになる。

 一口にキリスト教とは言っても実に様々な宗派があり、聖書の解釈も様々である。わたしは二十代後半に鑑三の弟子塚本虎二が訳した岩波文庫版「福音書」を熟読してこの「いっさい誓ってはならない」に出会い、書かれたままに受け止めている。だからわたしは、結婚式で神の御前で永遠の愛を誓う者たちを〈キリスト者〉と見なすことはない。〈誓う〉キリスト者達はいろいろと理屈を付けて正当化をはかっているが、わたしにはどれもこじつけのように思える。鑑三の『余は如何にして基督信徒となりし乎』も最初に読んだときから、なにか胡散臭いこじつけを感じたが、今「イエスを信ずる者たちの契約」に署名した鑑三にもそれを改めて感じる。

 十七歳といえばすでに十分に懐疑精神が育っているはずなのに、当時の日本を代表する俊英たち(鑑三、太田稻造、宮部金吾など)はキリスト教信仰になんの疑問も抱かなかったのであろうか。鑑三の伝記を読んでも、こういった観点から鑑三らの〈キリスト教信仰〉に疑問を抱いた者は皆無と言ってもいい。これは鑑三研究に携わった者達が、鑑三の弟子や弟子筋に当たる者、そしてその多くが自らもまたキリスト教信仰者たちであったことによろうか。彼らにはキリスト教信仰そのものに対する不信と懐疑の精神が欠落している。それに研究者としての客観性と礼節を重んじているので、極端で鋭利な批評の刃を鑑三のテキストに向けることはない。せっかくおもしろい視点を獲得しても、穏健でさしさわりのない視点に納めてしまっている。

 やがて鑑三は聖書研究に精魂傾けて取り組むことになるが、「いっさい誓ってはならない」というイエスの言葉に反して「契約」に署名したことをどのように自分自身にたいして納得させたのであろうか。鑑三にとうぜん不信と懐疑の念は生じただろうが、それはキリスト教自体を否定する力を得ることはなかった。鑑三は〈あいまい〉を凝視せず、〈あいまい〉を〈あいまい〉なままにしてキリスト教信仰を保持し続けた。なんとも不思議なことであるが、この不思議の内に明治期にキリスト教を受け入れた者たちの自己矛盾、自己欺瞞の深さを改めて感じざるを得ない。

 

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