随想 空即空(連載60) #ドストエフスキー&清水正ブログ# 清水正

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随想 空即空(連載60) #ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

    ドストエフスキーは十九世紀の小説家であり、その作品はリアリズムを原則としている。『罪と罰』でソーニャとリザヴェータは鞭身派観照派)に属するキリスト者で、神を視ることのできる人物として設定されている。〈ラザロの復活〉を朗読したソーニャの眼には、彼女の部屋に顕れている〈キリスト〉が視えている。リアリズムの観点からすれば、〈ラザロの復活〉朗読の舞台となったソーニャの部屋には、ソーニャとロジオンの二人しかいない。ドストエフスキーはソーニャの部屋に顕れた〈キリスト〉を〈彼〉(он)の性格で表した。朗読の途中でソーニャは「彼の方へ」(на него)ちらと目線を向けるが、作者はこの〈на него〉をイタリック体で記すことで読者に秘密の暗号を送っている。ソーニャはこの時、〈ラザロの復活〉の朗読を黙って聴いているロジオンに眼差しを向けたのではない。ソーニャはまさにこの時、〈キリスト〉に向かって自らの信仰を告白しているのである。しかしこういったテキストに仕掛けられた謎は江川卓の指摘があるまでその謎自体が発見されることがなかった。これは読者だけを責めるわけにはいかない。リアリズム小説の読者は、作品をリアリズムの観点から読み進める。観照派のソーニャが視る〈キリスト〉などは、リアリズムの観点に立つ読者からすれば〈幻想〉でしかない。ドストエフスキーは『罪と罰』をキリスト教的な〈幻想小説〉として構築していないし、又そのように読まれることを巧みに回避している。ドストエフスキーは『罪と罰』を飽くまでもリアルな〈現実小説〉として読者に提示している。換言すれば、ソーニャが視る〈キリスト〉は幻想ではなく現実そのものであるが、読者の側がその〈現実そのもの〉を見ることができなかったと言うわけである。もし、作者がソーニャにだけ視える〈キリスト〉をすべての読者に分かるように可視化してしまえば、『罪と罰』はたちまちアニメ漫画的な幻想小説となって、その深遠なリアリズムを瓦解させてしまうことになろう。

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お勧め動画池田大作氏の「人間革命」をとりあげ、ドストエフスキーの文学、ニーチェ永劫回帰アポロンディオニュソスベルグソンの時間論などを踏まえながら

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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目次

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