随想 空即空(連載15) 清水正

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随想 空即空(連載15)

清水正

 

 近頃つくづく思うのは人間の考えていることなどほとんど何も変わらないということである。わたしは二十歳の時に『ドストエフスキー体験』を刊行しているので、当時何を考えていたのかを明確に知ることができる。十四の時に、日記に「万物は繰り返す」を書いて、その時からわたしはすべての事象は必然と考えている。高校時代にベルグソンの『時間と自由』、ニーチェ永劫回帰と運命愛などの思想に触れ、大学時代にドストエフスキーカミュハイデッガーなどを読み、批評を書き続けてきたが、十四の時の時間論を超えることはない。ドストエフスキー論一つ取ってみても、基本的な考えは今も同じである。高校時代の日記帳の扉に「有は無に通じ 無は有に通じる」と書いたが、その思いは今も変わらない。

 

 正宗白鳥は「文学なんかどうでもいい」と言っているが、そのどうでもいいことを生涯やり通した。わたしはこの言葉にまったく動じない。わたしは白鳥の言葉を借りて「宗教なんかどうでもいい」と言ってもいいが、「文学なんかどうでもいい」とは言わない。わたしがドストエフスキーの文学を批評し続けているのは、彼の文学の中に政治も経済も社会も心理も精神病理も、そして宗教もすべて入っているからである。わたしのドストエフスキーに対する見方はきわめて単純で、もし彼がイエス・キリストの言葉に従って生きる正真正銘のキリスト者であるなら、小説を書き続けるという創造行為をも捨てて、自らの十字架を背負ってキリストの言葉に従ったであろう、ということである。ドストエフスキーは自らの作品世界の中に〈キリスト者〉を描くことも、神に反逆する無神論者をも描くことのできるディオニュソス的作家であり続けたということである。そしてこの〈十字架に掛けられた者〉対〈ディオニュソス〉を包むところの大いなるディオニュソス的作家ドストエフスキーが、彼自らが生きる現実の世界においては一人のロシア正教徒として息を引き取ったということである。

 正宗白鳥が「文学なんかどうでもいい」と言い、青年期にキリスト教の洗礼まで受けていながら、棄教して、バイブルを〈凡書〉の一言で片づけておきながら、最後にはアーメンと口にして死んでいく、この謂わば矛盾を抱えて煩悶し続けていた白鳥の生き様はとにかく面白い。ドストエフスキーを半世紀以上にわたって読み続けていながら、キリスト教に一度として入信しようと思ったことのないわたしは、西洋崇拝者でありながら、「僕の根底には仏教がある」と言って、日本人は畢竟、西洋人にはなれないと公言していた白鳥が死ぬ間際に〈アーメン〉を唱えたということは面白すぎる、複雑にして〈単純な生涯〉に思える。

 

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人間のあるべき姿を検証する。人道主義ヒューマニズム)と宗教の問題。対話によって世界平和の実現とその維持は可能なのか。人道主義一神教的絶対主義は握手することが可能なのか。三回に分けて発信していますがぜひ最後までご覧ください。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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