『うちには魔女がいる』講評

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矢代羽衣子さんの『うちには魔女がいる』(平成二十六年度日本大学芸術学部奨励賞受賞)は好評のうちに掲載を終わりました。今回はわたしの講評を紹介します。



『うちには魔女がいる』講評

清水正

 


ウイにとって魔女を一言でたとえるなら〈愛〉ということになる。毎日、ユイのために独創的な料理を作り続ける魔女の、日常と化した愛に心打たれる。このエッセイには魔女の作品(料理)が数多く紹介されている。撮影し続けたウイが、その作品に込められた愛を不断に実感していた一つの証である。このエッセイは著者が書いたものには違いないが、魔女の作品との共作ともなっている。張り付けられた作品(撮影された料理)の一つ一つに真心が込められていて、わたしはそれを食するようにたっぷり時間をかけて味わった。
山手線の電車の中で、この卒論エッセイを読みながら、わたしの涙腺はゆるみにゆるんだ。人の目もはばからず、流れるものは流れるままにまかせた。山下ゼミの学生の中にこんなすばらしい文章を書けるひとがいるなんて、と思いながら、このひとはどんなひとなんだろうとも思った。羽衣子という名前だから、天女のような美しいひとなんだろうとも思い、面接時に会えるのが楽しみだった。池袋に着く寸前に読み終え、西武線に向かってほのぼのとした気分で歩いている時、とつぜんウイの姿が立ち上がってきた。えっ、あのウイか、知らないどころではない。会うたびにウイ、ウイと声をかけていた、山下ゼミでも特に目立っていた学生であった。
魔女のウイに注がれた愛、ウイの魔女に向けられた愛の秘密の壷口には堅い栓がとり付けられている。が、密封された壷の中から、ひとの心をほのかにくすぐり癒す香りが漂っている。魔女の愛の料理には純度の高い悲しみの調味料が溶け込んでいる。魔女とウイの大げさに落ちない、日常へと浄化された絆のすがたが明確にきざまれたエッセイで、読んでいるあいだ、絶え間なくほのぼのと、せつなく、かなしく、あたたかかった。魔女の料理のお相伴にあずかった喜びを感じた。
さりげない表現で、人間の愛と悲しみを浮き彫りにする、否、あいとかなしみの時空へといざなう、その力はほんものである。 
 

※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。