小林リズムの紙のむだづかい(連載203)

小林リズムの紙のむだづかい(連載203)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
清水正の著作はここをクリックしてください。

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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい(連載203)
小林リズム
 【レイトショーのち、エレベーターにて】
   ひとり映画をよくする。この頃は割り引かれるし空いているので、もっぱら平日レイトショー。近くの映画館は閑散としているから、隣の席も、そのまた隣の席も空いていて快適。お気に入りのコンソメのフライドポテトも気にせずにパクパクと食べられるし、感動的な場面でうるっときても気にしないで済む。そして夜の映画は感情を揺すられやすいからなおさら、朝に観るよりも染みると思う。

 平日のレイトショーを観に来るひとは、仕事帰りのOLだったり、二日酔いの頭でぼうっとしていそうな男子大学生とか、映画が好きそうなおじさん、アフターファイブのデート中のカップルとさまざまな属性で、ふつうに毎日を送っていたら通り過ぎてしまいそうな人が多い。独身の人が多いんだろうなぁ、と勝手に思っている。自分専用の自由な時間が持てて、家で自分の帰りを待っている人もいない。次の日は仕事や学校があるけれど、でもちょっとだけ時間が惜しい…という感じの。

 大学生のころは、ひとり映画をするたびに「ひとりで映画を観ている男の子と運命的な出会いとかないかな」と妄想をふくらませていたのだけれど、今ではすっかりひとりで映画を観るという行為にハマってしまい、むしろ自分と同世代くらいの異性がいると「どうか同じ列じゃありませんように」と祈る。とことん映画に没頭したいので、ラブラブなカップルとか、ちょっと雰囲気のいい男の子なんかにそれを妨害されたくないのだった。カップルの会話とか様子なんて、ついつい気になってしまうので意識が逸れてしまう。それでもやっぱり、映画を観終えたあとは誰かと分かち合いたくなる。

 この間、エンドロールが流れたあともぼうっとして、なかなか余韻から抜けられない邦画を観た。ふわーっとする意識のまま映画館を出てエレベーターに乗り込むと、乗っていた人たちはみんな同じ映画を観たレイトショー組のひとたちだった。どの人も同じようにさっきまで観ていた映像に頭が取り残されているみたいだった。みんなひとりで、みんな無言で、だけど同じものを共有したのだという連帯感や安心感が充満した空間で、誰かひとりでも「映画、よかったですね」という言葉などを発したら、溢れてしまいそうだった。きっとあと20秒も長くエレベーターに乗っていたら、そうなっていただろうなと思う。エレベーターの扉が開いて、みんながバラバラに、それぞれの目的の場所へと歩いて行った。赤の他人同士がたったひとつのものを共有し、寄り添った瞬間って、あんなふうになるのだなぁ。言葉は必要ないと思った。誰も何もしゃべらなくてよかったと思った。

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

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