小林リズムの紙のむだづかい(連載146)

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紙のむだづかい(連載146)
小林リズム

【ハミだし者でかまわない】
 
 ハイジーナについてどう思うか聞かれた。ハイジーナ?なにそれ、聞いたことない…と慌ててググッたそのワードは、わたしが想像していた通りアルプスの少女ハイジが草原でかけめぐっていそうな、自然豊かな場所で愛情たっぷりかけて育てられたヤギから搾ったヨーグルトの名前…ではなく。女性の陰毛をすべて永久脱毛してツルツルにしてしまうことを指す言葉らしい。

 パッとよぎったのは、小さい頃に読んだ絵本に登場する天使。男の子だろうが女の子だろうが、生まれたてほやほやの状態はみんなツルツルしている。まあ毛が生えている天使が空を飛んでいたら少しグロテスクだよなぁ…。天使の羽がひらひらと空から舞ってくるのは絵になるけれど、陰毛が空から降ってくるなんてシュールすぎるし、天使というよりはただの不審者っぽい。

 そんなどうでもいいことに思いをめぐらせていたら、わたしは他人の陰毛の取り扱いの仕方が気になって隣にいた大学の先輩に「陰毛ってどうしてます?腰の浅いパンツだとたまにハミでたりするじゃないですか」と聞いてみたのだった。すると彼女はにっこり笑って「わたし、あんまり生えていないの」と言うのでガーンと顎が落ちそうになった。生まれつき色素や毛が薄い系女子は女にとってはホンモノの敵だ。わたしは探ってみたくなって「あんまりって、どれくらい生えていないんですか?」と聞くとちょっと絶句したあと「…なんか、量が少ないというか…」と言葉を濁して、斜め前の宴会席に座っている少々髪の毛がお亡くなりになったオジサマを指さしたので、知らないオジサマのことをついつい見入ってしまったのだった。そうか、あんな感じの陰毛なんだ…余計に気になる…。

 全身脱毛をしているという友達が「あまりにも毛が憎くて中学校のころに陰毛を全部剃ったことがあったよ」という告白をしてくれたとき、わたしは嬉しかった。彼女がキュートなルックスだったことと、恥ずかしそうにしゃべっているところが可愛かったからというのもあるのだけれど…「でもね、そのままにしておくと毛が伸びるでしょう?チクチクして痛いし、中途半端に短くて剛毛だから陰毛がパンツから飛び出してきてすごく変なの。もう二度とやらない」と言っていたことがいっそうわたしをうきうきさせたのだった。
 ハミでてくるのはビキニラインからだけではなくて、パンツの前面の布越しからも「こんにちは!」とばかりに飛び出してくるというのだから、ちょっと滑稽だ。「でも、ツルツルだと生理のときラクだし清潔なんだよねぇ」とも彼女は言っていた。剃り続けるかチクチクを甘受するかハイジーナにするか、悩ましげに語る彼女は抜群に女をやっていた。

 みんな真剣に考えて向き合っているのだなぁと思った。まっすぐに悩み戸惑い、ときどき苦しみながら自分の陰毛について考えている。なんとスゴイことだ。そう思ったら世界がちょっとだけ愛しくなって、人間のことがまた少し好きになったのだった。 

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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