小林リズムの紙のむだづかい(連載147)

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中央が小林リズムさん。左はマスラジの中村明子さん、右は松尾朋子さん。

紙のむだづかい(連載147)
小林リズム

【ひとりぼっちパラダイス】
 
  思春期のころは尋常じゃないくらいに被害妄想をかかえるタイプだったわたしも、年を重ねるごとにちょっとずつそれが解消されていって、気づけば「おひとりさま」なんていう無謀だったことも余裕でできるようになった。ひとりカフェ、ひとりランチ、ひとりカラオケは当たり前。「あの子、ひとりで来ててかわいそう。クスクス」と思われるのではないかという思い込みも薄まって、ずいぶんと図々しく生きられるようになった。大学4年生の秋シーズンは、ひとりで松屋に行くのにハマりせっせと足を運んでいた。七味も紅ショウガも好きなだけかけて、お味噌汁までセットになるなんて、なんてお得なんだろうと感動すらしていたのだった。

 そんなこんなで自分では「おひとりさま」のプロだと思っているのだけれど、それでも「負けた…!」と打ちひしがれる相手と出会うこともけっこうあって、そのたびにおひとりさまでいることの勇気を頂戴するのだった。
「この前ね、どうしても我慢できなくなって、ひとりでディズニーランドに行ってきちゃった!」
と話していたのは昔のバイト先の女性の先輩で、30歳間際くらいの年齢。はしゃぐタイプではなく落ち着いたイメージのある人だったから、聞いたときにびっくりしてしまった。彼女がミッキーとじゃれあっている姿なんて、想像できない…。
「写真もたくさん撮ったの、ほら」
と見せてくれたのはスマホの待ち受けで、ドナルドダックの横にピースをした彼女が満面の笑みで写っている。わたしは、松屋に入ったときにカウンター席に堂々と座れる自分、に対しての自慢話を披露したばかりだったから、急激に恥ずかしくなってしまった。彼女だったら当たり前みたいな顔をして“つゆだくで!”と頼めるのかもしれない。わたしはまだ“つゆだくで!”の壁は越えられていない。

 そんなこんなで、ひとりで行っても楽しい場所を選ぶとしたらどこだろうと考えてみたのだった。むしろ、ひとりで行ったほうが楽しい場所は、わたしのなかでは断トツで映画館。隣に人がいないほうが感情移入をしやすいし、「感動して泣いちゃった自分」をどう演出するかを考えなくてもすむし、ポップコーンを予告の最中で食べ終えてしまおうが、途中で寝てしまおうが、誰にも気兼ねせずにその空間に没頭できるのがいい。誰かといっしょに行くと、エンドロールをどこまで見るのかとか、ポップコーンをいっしょに食べるだとかを合わせないといけなくて、それはそれで楽しいけれど、やっぱり映画に集中というよりは、その子といっしょにいる時間を共有している感覚になる。

 けれどやっぱり、ひとりで行ったほうが楽しい場所は思いついても、ひとりで食べたほうが美味しいものはなかなか思いつかない。…と思ったのだけど、落ち込んだり、号泣したい日にするヤケ食いは、ひとりで食べたほうがおいしくて、キリッと立ち直れることを思い出した。ヘコんだときは食べる!というのがわたしにとっての究極手段で、心がくじけそうなときは、体を満たすのがいちばんなのだった。ショックを受けてもなおガツガツと食べ続けられる自分を認めた瞬間、やっぱり人間って生きてるなぁ、いろいろあるけどまあしょうがないか、と単純に開き直れるから、我ながらおめでたい。

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


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