小林リズムの紙のむだづかい(連載127)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが「ミスID」2014にセミファイナリスト51人中に選ばれました。リズムさんが「ミスID」2014に選ばれるように応援しましょう。
http://www.transit-web.com/miss-id/

紙のむだづかい(連載127)
小林リズム

【ちょっと変わった人が好き】
 
ネクタイをゆるめるだとか、車をバックで入れる姿だとか、女の子が男の子にときめく仕草というのはだいたいそんなものが挙げられているけれど、ベタすぎて「狙っているんじゃないの」と思ってしまうわたしとしては、あまり惹かれない。というのも、女性誌で特集されている“落とす仕草!”みたいなものも故意でやらないといけないものばかりだし、そういうものを使っているときの自分って間違いなく「狙っている」わけだから、ちっとも人間的な魅力を感じないのないのだった。もっと生活感のある、生きている人間特有の仕草にきゅんとする。

 たとえば、駅のホームでくるぶしに絆創膏を貼った人を見かけてときめいたことがあった。「あぁ、くるぶしをケガしちゃったのね…」という気持ちと「膝を抱えて絆創膏を貼っている姿」を想像して、どうしようかと悩めるくらいにどばっと脳内分泌が出てきたのだった。くるぶしというコアな領域がその人のプライベートに触れた気がして、そこをいたわるようにして絆創膏で覆うという発想が人間性につながっている気がして、話したこともないのに「彼はきっと素敵な人だ!」と思い込んでしまうのだ。
 その人が電車で無意識にぼうっとしていたので、これはもう外の景色を見て物思いにふけっているのだとわたしのなかで勝手にストーリーが組み立てられ、きっと過去のトラウマを思い起こしてるのだとか、それについて傷ついている彼を守ってあげられるのはわたししかいないんじゃないかと、猛スピードで彼とわたしの恋愛ストーリーは突き進んでいく。あまりにも熱心に妄想するから、その人がちょっと動いただけでも「これはわたしに向けた何かの合図かも…!」などと都合よく解釈し「わかった、池袋で降りるのね」と思うもさらっと大塚駅で電車を降りて去ってしまったときは途方に暮れたのだった。

 まあ、何が言いたいかというと「ちょっと変わった人が好き」という女の子はけっこうな回数を聞いたことがあるのだけど、その逆ってないよなぁということ。「ちょっと変わった女の子が好き」とはあまり耳にしない。「足のペディキュアが剥げかけているところに惚れた」とか「眉毛の剃り方を失敗しているところ魅力を感じた」とか、そういう人、増えていけばいいのに。せっかく足の爪に塗ったピンクのペディキュアを、どこかにぶつけてちょっと剥げているなんて、愛らしいと思わない?目に近い部分だからって慎重に扱っていたのに、シャッと必要な眉毛まで剃っちゃって前髪で隠そうと頑張っている姿とか、いじらしいと思わない?それって「ふいに膝に手を置かれてドキッ」とか「人ごみのなかで袖口をつかまれてキュンッ」というものよりも、ずっと現実的で濃くて強くて、揺るぎないもので、だから信用できると思う。

 と、そんなふうにして、わたしは今日も剥げかけたペディキュアと失敗した眉毛を正当化するのだった。

 

 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。