小林リズムの紙のむだづかい(連載227)

小林リズムの紙のむだづかい(連載227)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


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小林リズムの紙のむだづかい(連載227)
小林リズム
 【コンタクト処女】
   

 「あたし、カラコン取らないと。ママに怒られるからさぁ」
と言っておもむろにバッグから液体を取り出した女子中学生がいた。心臓がひやひやした。え?ここ、電車なんだけど。しかも動いてるんだけど…。もし何かの拍子でゴトンと揺れたら、どうするの。指が目に入ってしまったり、爪が刺さったりしたら…と想像するだけで恐ろしい…。しかしふたつむすびをした彼女は果敢にも、ちょろっとコンタクトをはずして、器の形にした左手にぱっと移動させた。その間、5秒にも満たない。

 マサイ族は視力がものすごくいい。それは広大な自然に囲まれて生活しているから、らしい。だからわたしも、自分の視力がいい理由は長野県で育ったからということにしている。通学路で山を眺め、犬の散歩で田んぼを眺めた。でも、よく考えてみれば中学校も高校も、周りにはコンタクトをした子がいたし、むしろ裸眼の人のほうが少なかったから、あんまり関係ないのかもしれない。
 いつの頃からか、わたしはコンタクトレンズに憧れていた。自分の目に対するスムーズな処理の仕方とか、慣れている手つきなんかが大人な感じがして、ちょっとかっこいい。特に黒目を大きくするコンタクトをつけている女の子とか、カワイイなぁと思う。そしてわたしは今も裸眼だけど、コンタクト処女ではない。

 生まれてはじめてコンタクトレンズをつけたのは、21歳の冬だった。当時アルバイトをしていた編プロで、メイクの撮影を手伝ったのだ。テーマは「フレッシャーズ」。そのときわたしは就職が決まっていなかったし、就活をする気もなかったのにスーツを着てメイクをしてもらって、髪もすっきりと結んでもらって、見た目だけは完璧な就活生になった。
 フレッシャーズとカラコンとは結び付けにくいのだけれど、カラコンも売っているディスカウントストアのフリーペーパーだったので、ライトブラウンのカラコンをつけることになった。自分では装着できずに先輩につけてもらった。「入らない!涙でる!もう無理です!」を繰り返し、破れて無駄にし、やっと目に入ったときにはもう、せっかく施してもらったメイクは剥げかけていた。なんていうか、はじめては怖いし痛いのね…。へっ。
 コンタクトに対する憧れは一気に吹き飛び、代わりに「もう二度とつけたくない」と心が震えた。それにしても、わたしはびっくりするくらいにカラコンが似合わなかった。どこの宇宙人?と突っ込みたくなる顔になってしまい、一生懸命フォローしてもあるのが申し訳ないやら何やらで落ち込んだ。

 当たり前のように親指と人差し指で目の中に手を入れてつまむ、隣の女子中学生をみていたら、けっこう本気で尊敬した。そしてはじめてコンタクトに挑戦したときの自分を思い出して、どんくさかったよなぁと振り返る。セカンドは、きっとない。

 

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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