ユッキーの紙ごはん(連載1)

清水正ブログ」でのエッセイスト、第三の新人はユッキーペンネームはいろいろ考えましたが、この名前でとりあえず、高く大空に舞い上がってもらうことにしましょう。小林リズム、星エリナに続いて大きく羽ばたいてもらいたい。

ユッキーの紙ごはん(連載1)


【マドラーになったお箸は泡を噴く 前編】
                                           

ユッキー


金曜日。受講登録をしている授業は4限目で終わりなのだが、私は大抵そこで帰らない。東棟から西棟に移動し、5階へ。ゼミです。ただし私は上坪ゼミ生であり、上坪先生のゼミは金曜5限ではない。実は、清水先生のゼミを聴講させていただいている。そして6月14日にも、図々しくゼミ室4へとお邪魔した。いつものように清水先生のお話を聞き、授業が終わると、清水先生は「これから飲みに行くんだよ」と仰る。メンバーは清水先生、下原先生、漫画家の日野日出志先生ということらしい。清水先生に「君も来るか?」と聞かれ、「えっ。あ、はい」と、私はほとんど会話の勢いのまま頷いた。その現場、清水先生の研究室。ソファーには下原先生が座っていらっしゃる。え? 先生方の飲み会に? さっき返すべきだった言葉が今さら頭に浮かぶ。皆さんもご存知の星エリナちゃん(正規の清水ゼミ生)は、体調が良くないとのことで帰ってしまった。
私が急にお邪魔して、ご迷惑じゃないですか。はっきりとそう聞くことができないまま、大学を出る。居酒屋への移動中、下原先生が気を遣って話しかけてきてくれた。ご自分のゼミにいる学生さんの名前を出して、知っているかどうかを尋ねてくる。「○○さんは知ってる?」「あ、ちょっとわからないです……すみません」「そっか。じゃあ××君は?」「な、名前は聞いたことあります。えへっ」 笑って誤魔化そうとするも、引きつる頬。友達が少ない、という現実が久しぶりに辛くなった。「えっと……△△さんとか」「……すみません、わかりません……」 気まずさと恥ずかしさと申し訳なさで、鼻の頭に汗が滲む。まさか交友関係の狭さがこんなところで仇となろうとは。
お店に着くも、私はまた焦った。席の片側はソファーだが、その向かいは椅子。ここは私が率先して椅子に座り、先生方をソファーに! と思うも、やはり気遣ってくださったのか、「いいんだよ」と言う下原先生の笑顔に甘え、私はソファーに座ってしまった。自分のダメさ加減に、プータローになる未来が浮かんでくる。こんなんじゃ絶対に就活失敗するよ。