随想 空即空(連載137)兵役拒否を巡って

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随想 空即空(連載137)兵役拒否を巡って

清水正  

 非戦論をいくら声を大きくして叫んでも、それが兵役拒否に繋がらないのであれば、戦争を推進する国家にとってなんら恐るべき事ではない。鑑三はそのことをも十分に考えていたであろう。宗次郎が兵役拒否を伝えてきた時、まず最初に鑑三の頭を過ぎったのは〈不敬事件〉に於ける世間からの弾劾であったろう。教育勅語に礼拝しなかっただけで同僚の教師や学生から激しく批判された鑑三は、兵役拒否による世間からの非難がどれほどのものか容易に想像できたであろう。

 〈不敬事件〉の場合、国家からの直接的な圧力や弾劾はなかったが、兵役拒否はそうはいかない。戦争を推進する国家が兵役拒否を黙って見逃すわけはない。宗次郎の兵役拒否が世の耳目を引くことになれば、師の鑑三にまで批判の矢が放たれるのは目に見えている。鑑三はすぐに宗次郎の元に駆けつけ、兵役拒否を止まるよう説得することになる。

 宗次郎が残した恩師の言を読む限り、鑑三が宗次郎の〈良心〉を第一に問題にしてはいない。キリスト者の良心は非戦論と兵役拒否を分割できない一つの真理として把握するのであって、それ以外にはない。その意味で、もし鑑三が真のキリスト者であれば、宗次郎を説得するのではなくして、良心に基づいての言動一致を確認し、共に闘う途を示したであろう。

 鑑三の教訓は欺瞞でしかないが、宗次郎がそれを看破できずに結果として鑑三の説得に応じてしまったことは、宗次郎の兵役拒否の内に鑑三の賛同を必要とする弱気が潜んでいたことを晒している。この弱気を換言すれば一種のヒロイズムと言ってもいいだろう。宗次郎は鑑三の前に誰にもまして義人として振る舞い、そのことで鑑三の絶対的な信頼を得ようとした前歴がある。宗次郎の決意は、神の前になされるべきであって、先生である鑑三の前になされるべきではない。このことが宗次郎にはよく分かっていなかった。

 鑑三の教訓に感動して納得する宗次郎には正直言って驚いた。鑑三は宗次郎の翻意に安心しただろうが、同時に落胆もしただろう。鑑三は宗次郎の翻意を確認した上で、もし自分の良心が兵役拒否を命ずるならばそれに従えと言っている。ある種、ずるい言い方だが、宗次郎の自由な精神を尊重した言い方でもある。兵役拒否という国家相手の戦いは、まず自分一人で決意し、それを実行に移す覚悟が必要であり、敬愛する先生の教訓とはいえ、すぐに翻意を表明するというのは、宗次郎の覚悟がまやかしであったことを証明してしまっている。その意味でも鑑三と宗次郎は似合いの師弟だったということになろう。

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